先月、ニューヨークで開催された気候行動サミット。スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんは各国首脳級を向こうに回して演説し、行動しない政治家に対し怒りをぶちまけた。曰く「大絶滅が迫っているのに、あなたたちはお金のことや経済発展がいつまで続くかというおとぎ話ばかり。絶対にゆるさない」▼トゥーンベリさんは16歳の少女だ。学校を休んで地球環境問題を訴える活動が、ネットを通じて世界中に波及したことで英雄となった。名前が「グレタ」であるのは、日本人にはちょっとしたご愛敬のように感じられる。今週11日に発表されるノーベル平和賞の有力候補だという▼不自由のない家庭で育った先進国スウェーデンの少女の発言に「世の中を知らない」と苛立つ大人も多いようだ。しかし、若き活動家は動じない。米トランプ大統領の皮肉やロシアのプーチン大統領の批判にも直ちにネットを通じてやり返す。その姿はマスコミに大きく取り上げられ、そのたびに「権威」や「正当性」を増していくようだ▼長年磨いてきた技術力や開発力を駆使し、さまざまな社会課題の解決に取り組む日本の化学産業。その努力と功績について世界の人々はどれほど知っているだろうか。知らしめるには勇気と努力が要る。グレタはそう示していないだろうか。(19・10・8)

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