出光興産と昭和シェル石油が来年4月に経営統合することで合意したと発表し、ようやく国内第2位の石油会社設立へこぎ着ける見通しとなった。これで国内の石油元売りは、昨年4月の統合で国内燃料油シェア5割超を持つトップ企業となったJXTGグループと、独立路線を選択したコスモ石油グループを加えた大手3社体制へと移行する。再編の動きが一段落することから、石油業界が川下の石油化学を巻き込んだコンビナート再構築の検討に入るか、今後が注目される。
 石油業界は近年、主力の燃料油の需要減少スピードが加速するなかで、新天地を求める海外展開の推進と、電力事業をはじめとする非燃料油事業への多角化を進めることで生き残ることを模索してきた。これがJXと東燃ゼネラルおよび、出光興産と昭和シェル石油の統合という業界再編の原動力となってきた。すでに大手3社への再編が完了していた鉄鋼(高炉)業界に続いて、国内の基幹産業である石油業界が競争力強化のため再編を断行したことには心からエールを送りたい。
 一方、石油化学業界は2015年以降に三菱ケミカル、住友化学、旭化成ケミカルズがそれぞれ1基のナフサクラッカーを停止し、国内の生産能力を削減する強化策を実施したが、さらなる競争力の強化のためには原料を供給する石油業界との密接な連携が不可欠になっている。しかし出光と昭和シェルの統合計画が足踏みし今後、どこの石油精製設備が停止されるのかも確定していないといった状況にあったため、新たな計画を練るにも「石油業界の再編待ち」という格好にあった。
 石油化学は、グローバルに見れば、今後もGDP成長率を上回る需要の伸びが続く成長産業であり、その需要を取り込むべく中国、韓国などの近隣諸国のほか米国、東南アジア、中東産油国などで拡大投資計画が林立している。このため日本の石油化学コンビナートは、さらなる国際競争力の強化が不可欠であり、設備の老朽化問題をクリアするための解決策も必要になっている。
 石油業界は石油精製・販売事業の生き残りを模索する一方、川下の石油化学を含めた構造改革には消極的だったと言わざるを得ない。待ったなしの状態に置かれた本業の再編を優先させてきた結果だといえるが、今後は石油化学を巻き込んだ一段深い構造改善について、化学業界とともに検討に入ることを期待したい。とくに両業界で複数企業が拠点を有する地区においては、新時代を生き抜くための大胆な絵を描くべきだ。

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