関西の化学各社が研究開発のスピードアップを目指し、さまざまな試みを進めている。事業環境が厳しさを増すなか、開発活動の効率化や開発成果の最大化は重要課題の一つ。オープンイノベーションなど、社内外の技術やアイデアを積極的に活用する動きが広がっているほか、新組織の立ち上げや開発テーマの再構築に取り組んでいる。
 三洋化成工業は、既存事業の研究開発において、各素材が最終的にどのような使われ方をするのかを描きながら能動的に提案する「act活動」を始動した。例えば紙おむつ向けに、高吸水性樹脂や不織布用表面処理剤といった素材を一括して紹介するなど、異なる研究部が保有する技術・製品をひとまとめにしてソリューションを提供している。また成長が期待される化粧品関連では、全社横断型社長直轄組織「Sanyo Skin Coffret」を立ち上げており、感性を重視しながら研究開発を進めている。
 日本触媒は外部の技術を積極的に取り入れている。健康医療関連では糖鎖工学研究所(京都市)や核酸医薬関連技術を有するTAK-Circulator(東京都文京区)、レナセラピューティクス(同千代田区)と、それぞれ提携。化粧品関連では、さまざまな物質をナノ分散させる技術を有するナノ・キューブ・ジャパン(岡山市)との連携に続いて、植物などから抽出する化粧品エキスの世界的メーカー、仏グリーンテックグループと包括的な事業提携に関する覚書を締結した。
 新研究棟(兵庫県尼崎市)完成を機にオープンイノベーションを加速しているのが大阪ソーダ。複数の企業や大学と協業、共同研究を積極的に推進するなど、新たな発見や成果を早く出すよう取り組んでいる。さらに新規ニーズの収集、新製品の市場開拓と技術開発、工業化まで一元的に統括する「新規事業推進本部」を設けた。同本部内に開発営業部を置き、既存事業分野とは異なる新製品専任の営業担当を置くことで、販売先開拓を充実させると同時に製・販・開の連携強化を図っている。
 田岡化学工業も工業化を専門に担う分析・工業化グループを発足。顧客ニーズに合った化合物の提案と新規合成ルートの開拓を行う開発部門との分業制を確立している。この組織体制がうまく機能し、新製品の継続的投入につながっている。
 企業の持続的成長には新規事業の創出が欠かせない。限られた経営資源の有効活用や外部技術の探索・評価が、より重要となる。今後、各社の研究開発活動がどう変わっていくのか注目したい。

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