飛行機はなぜ空を飛ぶのだろう。ロケットや宇宙探査機はなぜ、大気のない宇宙で方向転換できるのだろう。揚力や重力という言葉は知っていても、貧相な自らの常識に照らすと理解できない▼ライト兄弟が有人動力飛行に世界で初めて成功したとされるのが1903年12月。12馬力のガソリンエンジンを積んたライトフライヤー号での快挙だった。当時、気球以外の乗り物で人間が大空を移動するなど常識の外だった▼ライト兄弟の飛行実験は、米ノースカロライナ州の大変風の強い場所で行われた。ニュースを聞いた当時の科学者たちは「機械が空を飛ぶことは科学的に不可能」と断じ、ジャーナリストも一般社会の人々も疑いの目を向けた。どうせ凧の実験みたいなものだろうと高をくくったのだ▼ところがである。その後10年足らずで飛行機は実用化され、1914年に始まった第1次世界大戦では戦闘機が実戦に投入された。1910年代の終わりには、大気圏外の真空を飛ぶロケットの理論も提唱されていた。世の中の常識とはときにいい加減で、ときに猛スピードで書き換えられる▼空飛ぶ自動車の開発競争が激化している。どうせ実用化は遠い先だろうと高をくくっている頭の堅いあなた。実は筆者もその1人だが、ワクワクする側へ回る方が楽しいと思い直してもいる。(18・9・4)

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