雑誌を買わなくなって久しい。たまに買うのは、社内吊り広告でスクープ記事の見出しが衝撃的だった時の週刊誌、そして『dancyu』(ダンチュウ)くらいだ。コンビニの棚に並んでいると、つい手にとってしまう▼dancyuは根強いファンに支えられている。簡単に紹介すると、おいしい食べ歩き、料理づくり、素材探しなど、食を楽しみたい人のための月刊誌ということになる。雑誌名は「男子厨房に入るべからず」をもじっている▼深刻なマイナス成長が続く出版業界にあって、この雑誌は気を吐いている。編集長はラジオ番組の対談で、情報(データ)提供だけでなく、提案を心がけていると語っていた。「銀座・すし」で検索すると500万件近くヒットするような世の中にあって、単なるデータの陳列では読者をつかめないということだろう。編集者が足と胃をはって食べ歩き、よい味、よい店を提案する。それが斜陽業界にあって部数を伸ばす秘訣になっている▼さぞや舌が肥えているであろう編集長の良い店の見つけ方は、食べ終えて店を出てくる客の表情をじっくり観察することだという。満足した顔をしているか、同伴者と話が弾んでいるか。その逆に暗い顔、しかめっ面をしていないか。よほどの役者や天の邪鬼でない限り、表情は嘘をつかないはずだ。(18・6・27)

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