花言葉は「幸福が飛んでくる」と縁起が良い。上品で華やかな見栄えは格別で、凛とした高級感を漂わせてくれる。香りや花粉はほとんどない。加えて花もちもいい。胡蝶蘭がお祝いの贈り物として重用され、とくに法人関係では定番になっている所以である▼原種は19世紀前半に東南アジアで発見された。当時のヨーロッパは蘭ブーム。富裕層が世界各地にハンターを送って珍しい蘭を探し求めた成果だ。英名はモス・オーキッド。日本人は花びらを蛾ではなく蝶に見立てて、和名は胡蝶蘭▼他の蘭と同様、交配を重ねて品種改良が進められてきた。日本でも、温室栽培が盛んになった明治末期から活発化したという。白、ピンク、赤リップが代表的だが、黄色や赤、ストライプやグラデーションなどもある。花のサイズも大輪系からミニまで多様だ▼開店、開業、周年行事、受賞や就任、選挙の事務所開きや当選祝いなど、祝い事全般で活躍する。内閣改造があれば、新大臣就任祝いに関係各方面から各府省に、豪華な大輪3本立てや5本立てが数十鉢も届けられる▼環境や手入れ次第では、2カ月くらいは花がもつ。25日に辞任した菅原一秀前経済産業相の部屋にも、立派な胡蝶蘭の鉢が所狭しと並んでいた。もちろん新大臣登庁前に片付けられたが、その多くはまだ鑑賞に堪えられる花だった。(19・10・28)

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