日本武道館での入学式を懐かしく思い出す人も多いことだろう。なにせここでは、都内の大学の入学式が連日行われるからだ。昨9日まで、東京電機、法政、帝京、専修、東洋、明治、日本、東京理科の各大学の入学式が開かれた。12日の東大が今シーズンの最後となる▼学長の告辞や有名OBによる祝辞などを新入生が緊張と期待の面持ちで聴く。その時の晴れがましい気持ちは、入学式のニュースを聞くたびによみがえってくる▼書店に並ぶ様々な本からも新人にメッセージが贈られる。『僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう』(文春新書)がユニークだ。成功体験を語ることが多いこの種の本では珍しく、むしろ失敗談に紙幅を多く割いている▼著者のひとりである永田和宏氏によると、各界のスーパーリーダーは自分たちとは別の世界の住人であって、とても努力などは追いつけるものではないという思い込みが現代の若い世代には強いという。「あんな偉い人たちでも自分と同じ失敗や挫折を繰り返してきている。だから自分もひょっとしたら、と思って欲しい」。だから一歩踏み出せとエールを送る▼対談で山中伸弥京都大学教授は、若い人がいま何をすべきかという正解はないという。ただ、「何もしないのだけはやめてほしい」と非常にシンプルに語っている。(19・4・10)

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