中国、四国、九州など西日本を襲った豪雨が甚大な被害をもたらしている。9日に、これら地域の多くで梅雨明けが報じられたが、これまでの降雨により各地で河川の堤防決壊や土砂崩れが発生しており、10日昼までに130人を超える死者が確認された。改めて自然の猛威に呆然とする思いだ。豪雨となった要因として偏西風が蛇行して湿った風が入り込み、梅雨前線が刺激されたことなどが挙げられているが、偏西風の蛇行は、さして珍しい事態ではないはず。しかし各地を見舞った雨の量は人間の手による防災設計を簡単に乗り越えてしまった。一人でも多くが救われ、一日も早く復旧することを切に祈る。
 今回の豪雨は「数十年に一度の現象」ともいわれるが近年、そういった表現を聞く機会は増えている。数十年に一度ということが「あと数十年は起こらない」ことを意味しないことは自明だ。人間の耐え得る力を遥かに上回るような猛威だが、多数の犠牲者を出した今こそ、改めて災害を少しでも抑え込むための努力を尽すべきだ。
 自然災害を抑えるためにもプラスチック製品の力は貢献できる。ゲリラ豪雨対策としての雨水貯留浸透設備は、河川への雨水の急激な流入や、道路の冠水被害を抑制する機能を持つ。こうした設備を少しでも多く敷設していくことで、河川の堤防決壊のリスクを緩和できる。
 土砂崩れにも、法面補強などのプラスチック部材が貢献し得る。雨水貯留浸透設備と同様、コンクリートを用いた施工よりも短工期かつ重機が不要なことから、低コストで施工できるといったメリットがある。広大な国土を強靭化するうえで、予算面からもプラスチック製品の活用は欠かせない。製品一つひとつの被害抑制規模は小さいかもしれないが、できるだけ多く、網羅的に敷設することで、一点の脆弱な個所から引き起こされる堤防の決壊や土砂崩れのリスクを低減できる。
 また広範な地域で思いも寄らぬ規模の被害が発生するなか、適応策として新たな製品の開発が求められてくる。例えば、強靭な塗膜によって外観形状を保つポリウレア樹脂のような製品を住宅に吹き付けることで、大地震・洪水時に家屋を倒壊から防ぎ、一命を取り留められるかもしれない。またプラスチック製品を活用して水害時に浮かぶカーポートを開発した企業もある。従来の発想では開発価値を見いだせなかった製品が、今後は自然災害時に必要なものとなるかもしれない。命や生活を守るため、官民が力を合わせ、柔軟な発想で国土強靭化を実現してもらいたい。

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