街灯を頼りに歩く道すがら時計を確認し、日没が随分早くなったことを実感した。夕闇は街の色を消し去り、意識はただ歩くことに集中し始める。自動ドアを抜け、ビルの中の色鮮やかな店舗を見た刹那、歩速が緩むのを感じた▼お茶のペットボトルは大抵は緑色をしている。そして缶コーヒーのブラックの色は黒と相場が決まっている。なのに缶ビールの缶の色はなぜマチマチなのか。博識の知人に聞くと、コップに注いで飲めと言われその話題は終わった▼仕方なくネットで調べると、日本の缶ビールの場合、緑は糖質カット系のビール類に使われ、青は糖質だけでなくプリン体もカットしたビール類に使われることが多いという。また、金は高級感、赤系はコクやうまみ、銀はキレなど、強調したい特長を色で表現するらしい。確かに色は固有のイメージと結びつきやすい▼赤なら赤系、青なら青系。そうやって選んだ色とその仲間だけを使い他を排除して絵を描いてみると、一貫したテーマを表現できる。企業戦略の一つである選択と集中はこれに似ていると感じる。人の価値観、宗教、政党などにも通じるところがある。しかし、多種多様な色がそれぞれ主張し合いながらもバランスをとり、調和している世界がやはり望ましい。〈山くれて 紅葉の朱を うばひけり〉(蕪村)。(19・11・19)続きは本紙で

 

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る