ベストセラーとなった漫画版『君たちはどう生きるか』の累計発行部数が200万部を突破し、宮崎駿監督による同名作品の映画化決定でも話題になった。2017年8月に漫画版と新装版が発行され、とくに漫画版は大ヒット。映画は、度重なる引退宣言を撤回した宮崎監督の最新作の題材となるから注目度は大きい▼この原作は、1937年に編集者・児童文学者の吉野源三郎氏が発表したものだ。80年にわたって読み継がれ、現在また火が付いた。物語の内容はこうだ。中学生の少年が学校での出来事や友人関係について悩み、叔父さんのノートを介して学んでいく。ただ、このなかで叔父さんは解決策を何一つ示していない。ノートのなかに考え方を印し、それを読んだ少年が自ら考えていく▼この作品が最初に出版されたのは、日中戦争のきっかけとなった盧溝橋事件が勃発した年。日本が軍国主義へとひた走る時代に、若者へ向けた強いメッセージが込められている。考え方の基本を教えるという、教育の原点に立ったものだ▼自分の生き方を決められるのは自分だけだという教えは、80年を経た現代でも若者の心を掴む。人間は常に、人間としてあるべき姿を追い求めている。発言が二転三転する霞ヶ関の大人達は、どうだろうか。ぜひ自分で考えて、答えを出して欲しい。(18・5・24)

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