衣料品の大量廃棄問題が、国内外で大きくクローズアップされている。英国高級ブランドのバーバリーは7月、2017年に約40億円相当の売れ残りを焼却などによって処分したことを公表。これに対してソーシャルメディアなどで猛烈な批判が沸き起こった。世界には日常着る服にも事欠く人々も存在する一方、新品のまま誰に使われることもなく大量に廃棄されていることに対する倫理的な問題や、無駄に焼却するという環境的な問題などが指摘された。バーバリー側が、ブランドの毀損を防ぐため適切に処理しようとしたことは理解できるが、環境問題等々を考慮すれば、そのような手法が許されない時代にあることは疑いない。バーバリーは、批判を受けて9月に売れ残り商品の焼却処分を即日中止すると発表している。
 ことはバーバリーだけの問題ではない。高級ブランドから、よりボリュームゾーンのアパレルブランドまで含め、このような取り組みは一般的に行われているとされる。しかも廃棄量は全体的に拡大する方向にある。衣料品の企画から、生地を作り染色、縫製して店頭に並ぶまでには一定の時間を要するため、流行を見極めるのは難しいが、機会損失を防ぎたい各メーカーはヒットを前提に大量生産し、相当量が売れ残る。経済産業省によると、国内のアパレル市場の規模はバブル期の15兆円から10兆円程度まで縮小する一方、供給量は20億点から40億点程度へと倍増した。単価下落の影響も大きいが、需要を大きく上回る供給が起こっており、アウトレットなどで安く売られるだけでなく、廃棄されるケースも多いようだ。
 こうした状況はサスティナブルとはいえない。ネットなどを通じ市場の目は厳しくなる一方であり、廃棄物を出さないモノづくりが強く求められる。幸い日本では、問題を解決できる技術開発が各所で行われている。セーレンのインクジェットシステム「ビスコテックス」は、印刷の手法で1品からの究極の小ロットを短納期で提供できる。昨今の新品処分への逆風を目にしてアパレルメーカーから同システムの活用を望む声が複数寄せられている。小松マテーレも「製品染め」と呼ぶ縫製まで仕立ててから染め上げる技術を保有、エコとサステナビリティの切り口で提案している。両技術とも染色前の白生地在庫は必要だが、染色前なら不良在庫とはならない。AI(人工知能)を活用した需要予測システムの開発といった取り組みも進められている。これら技術を広げることで世界のアパレル業界の変革につなげてほしい。

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