18日朝、大阪府北部を襲った震度6弱の地震。家屋などが損壊し複数の死者を出したほか、交通機関などライフラインはまひ状態に陥った。生産活動に致命的被害はなかったようだが、ガス・水道の完全復旧には、それなりの時間がかかりそうだ。
 自然災害リスクの高い日本。大規模な地震や台風、洪水の際に被災地への食品供給や被災者の栄養状態を、いかに安定・健全に保つのか-。避難所の運営や仮設住宅整備の権限を都道府県から政令指定都市に移すことを可能とする改正災害救助法が、8日の参院本会議で可決、成立した。食品の確保・供給についても権限委譲できるようになる。自治体の相互応援協定、食品メーカーと個々に契約する現在の救援のあり方と合わせ、どこが被災しようと、最終的には国の責任で同じ質の支援が受けられるよう望みたい。
 国立健康・栄養研究所は今年4月に「国際災害栄養研究室」を発足させた。健康被害を減少させるための調査研究と、エビデンスに基づく後方からの栄養支援システム構築を目指す。また東日本大震災を機に日本栄養士会が「日本栄養士会災害支援チーム」(JDA-DAT)を設立している。支援マニュアルを策定し、被災地の情報収集、緊急栄養補給物資の支援、被災地の避難所などでの個人に対する栄養補給の支援、医療機関への連絡対応を行う。実際には指定都道府県の栄養士会を主体に72時間以内に行動開始する。
 JDA-DATの活動は、被災者が少なく、狭い地域の場合に有効な取り組みと考えられている。しかし地域住民だけでなく通勤・通学者の多い東京や、今回のように大阪・京都といった大都市圏が被災したら、マニュアル通りにやるのではなく臨機応変さが求められる。
 災害発生時には、栄養摂取に欠かせない食品の絶対数が確実に不足する。加えて災害発生後3日から1週間程度の間に届けられる食品はおにぎりや菓子パンなどが多く、食べ続けると飽きるだけでなく、栄養も偏ってしまう。さらにはベビーフードや要介護の高齢者、アレルギー体質の人のための食事、また訪日外国人向けの食品(ハラル対応含め)をどう確保するかも考えなくてはならない。
 大規模な自然災害では、道路の寸断などで食品の搬送が絶たれるケースもある。迅速な供給体制構築には官民の有機的な連携がカギとなる。政府主導により被災地に民間の船舶・航空機を優先的に振り向けたり、非被災地域に工場を持つ食品メーカーに供給を義務付けるといった、大胆かつ大掛かりな仕組みを検討するべきだろう。

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