2003年に当時の小泉首相が打ち出した観光立国の目標は12年までに1000万人の旅行者を呼び込むことだった。それからまだ10年も経っていないが日本を訪れる外国人旅行者は3000万人を超え、オリンピックイヤーの来年は安倍政権の目標である4000万人が具体化する見通しにある▼円安、アジアを中心とする購買力の拡大、「クールジャパン」戦略のもとで行われた様々な発信が奏功した結果だろう。だが、上には上がいる。年間5000万人を超える観光客を集客する国はフランスを筆頭に上から数えて5カ国ある▼とはいえ、4000万人の外国人旅行客は日本にとっては未曾有の経験となる。実際、駅や電車で聞き慣れない言葉が耳に飛び込んでくることは日常茶飯事。こんなことは日本人の誰もが経験したことのないことだ。日本で働く外国人の数も増え日本人がマイノリティとなる飲食店も同時に増えている▼未曾有であることは両刃の剣だ。インバウンドで潤う企業や店舗が増える一方、これまでは考えられないトラブルもあろう。「クールジャパン」はAIも駆使して、そうしたリスク管理に備えているだろうか。旅とはネガティブな部分も含めて非日常を受け入れ、楽しむことと考える。受け入れる側はどう楽しむのか、工事中の駅を歩きながらよく思う。(19・2・8)

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