インフラ設備・構造物の補修市場に対する化学関連企業の取り組みが活発だ。高度成長期に建設された高速道路や橋梁などインフラ設備の多くは更新需要を迎え、対策は待ったなしの状態。東京オリンピック・パラリンピックも開幕まで2年に迫り、首都圏を中心に関連施設の需要は本格化。都市再開発計画も目白押しだ。これらに合わせて素材関連メーカーは動きを強めている。
 インフラ設備・構造物分野には、塗料や接着剤、シーリング材、コンクリート混和剤などのスペシャリティ・ケミカル製品が幅広く使われる。屋外施設が多いことから、耐久性や耐候性などを高めた差別化製品を相次ぎ投入してきた。
 なかでも動きが活発なのは塗料分野だろう。四国電力グループの四国総合研究所は大日本塗料、関西ペイント、神東塗料と組んで、インフラ設備補修用剥離抑制型塗料を開発した。3社以上の塗料メーカーが新規塗料を共同開発するのは業界初のことだという。8月から大日本塗料が先行販売する。
 鋼構造物に使用される鉄は温度変化による寸法の変化が小さいのに対して、鋼橋など鋼構造物の表面を覆う塗膜は線膨張係数が鉄の5~6倍大きい。このため繰り返し行われる補修塗装により塗膜が厚膜化した場合、温度変化により剥離するリスクが高くなる。開発したのは線膨張係数を従来の塗料に比べて半分程度に小さくし、塗り重ねて厚膜になるほど剥離リスクが低減するというものだ。優れた耐久性と補修コストの大幅抑制につながることから、従来以上に鋼構造物などの長寿命化に寄与すると期待できる。
 日本ペイントホールディングスで汎用塗料を手がける日本ペイントも、建築・鋼構造物塗料分野の新製品3種を市場投入した。高意匠サイディングボード外壁保護クリヤーのつや消し仕上げ用、環境配慮型で塗装作業や仕上げ性に優れた合成樹脂調合ペイント、エアレススプレーによる厚膜塗装が可能な無機ジンク(亜鉛)リッチペイント。特徴ある上塗り材、下塗り材の投入で差別化を図っていく。
 今年10月に水性重防食塗料の日本工業規格(JIS)化が予定され、環境・安全面への配慮から自治体が発注する公共工事への採用に弾みがつくとみられている。これを背景に各社は、溶剤系と遜色のない水系塗料の開発を加速している。
 急激な建設需要の増加にともない、建築業界も人手不足が深刻化している。省人化や作業員の負担軽減、工期短縮といったニーズへの対応も、差別化に欠かせない条件となっている。

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