ドローン(無人航空機)を物流分野で活用するための取り組みが進展している。その一助として国土交通省は「過疎地域等におけるドローン物流ビジネスモデル検討会」を立ち上げた。産官学から募ったメンバーを中心に、商業サービス実現に向けてビジネスモデルの構築と支援方策を具体化する。このほど初会合を開催し、検討会設立の趣旨、物流の現状とドローン物流の主な取り組み、今後の予定などについて議論した。
 積載率の低い非効率な輸配送や、食料品など日常の買い物が困難な買い物弱者といった課題を抱える山間部。これら過疎地域では新たな輸配送手段としてドローンへの期待は大きい。ただ実用化へ向けて乗り越えるべき課題は少なくない。何よりも物流の大前提とされる安全の確保を徹底する必要がある。
 2018年9月の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」(審査要領)一部改正で「目視外補助者無し飛行」に関する要件が明確化され、過疎地域におけるドローン物流の環境整備が一定程度実現した。同年11月には福島県南相馬市において、審査要領に基づき国内初の目視外補助者無し飛行による配送を実施されるなどドローン物流の展開が進展している。
 山・海・湖・河川・砂漠・密林など、陸路で車や人が入りにくい場所でもドローンであれば空からの移動で速やかな配送が可能。さらに自律航行(飛行)する能力があるため離陸から配送、倉庫などへの帰還を自動化できるメリットもある。
 少子高齢化など社会構造が変化していくなかで、ドローンはトラック輸送が非効率で生産性の低い過疎地にとどまらず、住宅地や高層のビルなどの高層階への宅配輸送、災害時の支援物資の輸送、巨大な倉庫の中での物流の荷さばきの効率化にも有効とされている。
 ただ、物流業務にドローンを活用することは決して容易なことではない。とくに配送では、どんな天候でも対応可能な耐候性が求められる。しかし、ドローンは雨や強風に弱く、一般的には悪天候時には空を飛ぶことができない。
 空を飛ぶ以上、落雷を受けたりや墜落するリスクをゼロにはできず、人家の上を飛行することに理解が得られるのかなどの問題もある。安全に離着陸させるドローンポートシステムも開発しなくてはならない。
 現状では法律の規制などによって完全自動での配送が行える場所は限られる。それでも将来的に規制が緩和され、ドローンによる自動配送が進むことにより、物流業界における人手不足の解消に役立つだろう。

新聞購読のご案内

PDF版のご案内

社説の最新記事もっと見る