中国政府が2022年までに自動車生産の外資規制を段階的に廃止することを決めた。外資が中国の自動車メーカーに50%を超えて出資可能になる。日本勢を含む外資メーカーの経営の自由度が高まるとして歓迎ムードも広がるが、業界再編が進むなど市場の競争環境が大きく変化する契機にもなり得よう。19年に導入される新エネルギー車(NEV)規制とも相まって、日系化学メーカーは戦略の見直しが必要になりそうだ。
 中国の国家発展改革委員会は18年に、いわゆる特殊車両と、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などNEV、20年に商用車、22年に乗用車について資本規制を撤廃する。従来、外資が現地企業と合弁で中国で自動車を生産する場合、外資は最大50%までしか出資できなかった。22年には合弁相手の地場メーカーを最大2社までとする規制も廃止される。
 中国の資本規制廃止の動きには、深刻化する米国との貿易摩擦をにらんで市場開放をアピールする狙いが透けて見える。経済成長が鈍化するなか、外資資本を積極的に導入してテコ入れを図りたいとの思惑もありそうだ。「地場メーカーが外資と戦える競争力がついてきたとの判断も働いたようだ」(日本政府関係者)。
 中国メーカーは、これまでも吉利集団がボルボを買収するなど海外戦略を拡大してきたが、競争力を一層高めるため外資買収がさらに進むだろう。合従連衡も予想され、自動車市場の再編につながる可能性がある。
 外資が、すぐに出資比率を引き上げることはないだろう。中国市場でのビジネスや政府との交渉、情報収集などの面で支障を来すためだ。それでも従来は外資が経営権が握れず、技術流出の問題などもはらむため、規制に対し不満が強かったのは事実。今後は新たな合弁会社の設置などが進む可能性もあり、EVなどでは従来の資本関係を越えた動きが活発化すると見る向きも多い。
 中国政府は年から、自動車メーカーにEVやプラグインハイブリッド車(PHV)、FCVで構成されるNEVを一定比率、製造・販売することを義務付ける。これによって「脱内燃機関」が進めばエンジン回りのゴムチューブなどが不要になる一方、樹脂や電装部品の使用は増えるだろう。
 中国の自動車市場を取り巻くく環境は激変している。日系自動車メーカーの好業績に支えられてきた日本の化学企業も、強みの製品や従来の売り先が今後も安泰である保障はない。転換期を迎えた市場の先を読む目が重要になる。

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