約1万年続いた縄文時代を経て、日本に農耕が定着したのは今から約3000年前の弥生時代。典型的な農耕民族である日本人は、じっくりと計画的に作物を育てる忍耐強さが備わった。獲物を求めて1カ所に定住せず、ほぼ偶然性に依存していた狩猟民族と対比される所以だ▼狩猟民族は小集団で生活しグループ間の移動も頻繁に行われていたため、人間関係に問題が生じた場合はグループを移れば解決する。一方、定住型の農耕民族はストレスを抱えたままで、それが蓄積される。この頃に日本人の気質が形成され、今に至っているのだろうか。周りに気を遣い、控え目なことが美徳ともされている▼これを会社生活に当てはめれば、上や下に気を配る中間管理職が最たるもの。日本の管理職や専門職の男性は他の労働者に比べて死亡率が高いという調査報告を東京大学などがまとめた。バブル崩壊後に死亡率は上昇したという。プレイングマネージャー化や組織縮小で心身の負担が増加したことが原因だとみている▼一方、欧州では逆に管理職の死亡率は他の労働者より低かった。日欧のこの健康格差は農耕民族と狩猟民族の違いを映したものなのだろうか。休暇を増やし、心身を健康にする働き方改革。せめて管理職は、これを徹底させるためにストレスを増やしてはいけない。(19・6・19)

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