高齢ドライバーを中心に、運転免許証の自主返納が増えているという。東京都内では、大型連休明けの3日間で1200人超が免許証を返納したとテレビが報じている。連休中にじっくり話し合って結論を導いた家族もあるのだろう▼4月19日に東京・池袋で発生した事故がひとつの契機。87歳の男性が運転するクルマが暴走し自転車や歩行者を次々にはね、母親と3歳の長女を死なせた。社会的な衝撃は大きく、直後の1週間で前週より2割多い1200人以上が返納した▼高齢者による事故や危険運転が、社会問題化している。対策が様々に論じられるが、解決に繋がる有効な手立ては見当たらない。身内の高齢ドライバーの問題なら、本人を説得して運転をやめさせるという話▼自主返納を決断できるなら、判断力は損なわれていない。困るのが「自分はまだ大丈夫」と主張された場合。不安はあっても認めたくない。「もうそろそろ」と説得する側に対し「女房子どもの指図は受けない」という気持ちもある。家族間のせめぎ合いになるが、自主返納できるなら恵まれている▼大上段から論じれば、社会システムが人口高齢化に対応できていないという論点に行き着く。地方には、クルマなしでは日々の生活、買い物や通院ができなくなる地域があり、そこで暮らす高齢者が大勢いる。(19・5・13)

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