政府がキャッシュレスビジョンを打ち出したのが昨年4月。未来投資戦略2018と連動してプラットフォーム整備が急ピッチで進む。25年にはキャッシュレス決済比率40%が目標。19年を「キャッシュレス元年」と位置付ける▼日本のキャッシュレス決済比率は、諸外国に比べて著しく低い。15年時点では、韓国の89%を筆頭に中国、カナダ、英国、豪州、米国などが40~60%。対して日本はわずか18%。いまはもう少し上がっているだろうが、隔たりは大きい▼日本で普及が遅れたのは、盗難が少ないなど治安の良さ、偽札の流通が少なく現金に対する信頼が高いといった良好な社会環境も理由の一つ。店舗のレジ処理が高速で正確なこと、ATMの利便性が高いことも背景にある▼しかし、デジタル手段による支払いの流れは世界的に加速し、そこで得られるデータを利活用する新たなビジネスが生まれた。利用可能なデータのあるところが市場として認知される。そんな変化に日本が取り残される懸念も生じている▼若いころ先輩に「財布に自分の年齢かける千円を入れておくのが社会人の最低限の心得」と教わった。少なくとも、30歳なら3万円、40歳なら4万円は持っておけと。昨今はスマホとカードがあればコト足りる。所持金は気にしない。これを進歩といっていいのだろうか。(19・8・26)

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