総合重機・プラント各社がアフタービジネスへの取り組みを強化している。EPC(設計・調達・建設)事業で受注競争が一段と激化するなか、アフターサービスなどO&M(オペレーション&メンテナンス)にシフトし、安定収益を維持するのが狙いだ。今後はO&Mに止まらず、IoT(モノのインターネット)などとの連携を加速し、新しい柱に育成すべきだ。
 各社とも多くがEPCを事業の主力に据えるが、国内のプラント市場は成熟傾向が強く、新規受注が期待できない。一方、海外市場は成長性があるが、価格面で厳しい。海外特有のリスクもあり、収益確保は容易でない。そこで産業機械やプラントの部品供給、オーバーホール、点検、改良工事などO&Mに注目している。EPCは競争入札だが、O&Mは基本的に建設した企業に発注されるためだ。顧客サイドから見れば、設備の設計図を持ち、プラントの性質を熟知している企業は頼もしい。適切なアドバイスができ、トラブルの発生を最小限に抑制できる。ある程度、故障予知も期待できるだろう。
 住友重機械工業の2017年度決算では、アフターサービス事業の売り上げが全社合計で初めて1500億円の大台を超えた。主力の射出成形機、減速機をはじめ水処理設備、運搬機械などに加え、今期はバイオマス発電設備向け循環流動層(CFB)ボイラーの子会社が連結対象となるため、1700億円規模まで拡大する見通し。
 日立造船は17年度、主力のごみ焼却発電プラントが苦戦し、大幅減益を余儀なくされた。海外子会社「日立造船イノバ」のEPC依存度が約9割と高く、赤字受注が響いたもの。今春にはイノバの社長を解任し、アフターサービスの拡大など事業領域を広げ、構造改善を急ぐ。
 三菱重工業は、グループ中核子会社の三菱日立パワーシステムズで、機器売りからサービス売りへビジネスモデルの転換を図る。世界で大型火力発電プラントの市場が冷え込むなか、O&Mサービス、運用最適化サービス、設備更新ソリューションサービスで収益を支える。
 川崎重工業は、分散型発電プラントなどを世界規模で拡大しエネルギー事業の売上高を25年に3000億円まで伸ばす。海外EPCの受注を確保し、通信ネットワークの遠隔監視システム「テクノネット」でアフターサービスを充実させる。
 プラント業界ではベテラン社員の定年退職も深刻な問題。IoT、AI(人工知能)などを駆使し、より高付加価値で差別化の可能なO&Mで収益確保を急ぐべきだ。

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