関西に本社を構える化学企業が、相次いで新たな中期経営計画を始動させている。業界を取り巻く環境が大きく変化するなか、現行中計を前倒しして新中計をスタートする企業も多い。各社とも引き続き事業構造改革を推し進める一方、M&A(合併・買収)や事業提携にも積極的な姿勢をみせており、持続的な成長に向けて新たなステージへ進もうとしている。
 三洋化成工業は、2015年度から18年度まで4カ年の「第9次中期経営計画」に取り組んできたが、この間に原料価格の変動や高吸水性樹脂(SAP)事業の競争激化など、経営計画策定時から外部環境が急激に変化した。加えて事業本部制の導入や他社との協業プロジェクトの発足など、社内環境も大きく変わったことから第9次中計を1年前倒しし新たに「第10次中期経営計画」をスタートした。3年間で設備投資は約350億円を予定。潤滑油添加剤、永久帯電防止剤など同社の強みが発揮できる事業へと投資するとともに、プロダクトミックスの変化にともなう既存設備の効率的活用を推進する。
 大阪ソーダも14年度から18年度までの中計「NEXT FRONTIER-100」を実行してきたが、20年度を節目ととらえ、さらなる利益重視の経営へのシフトを目指して3カ年の新中計「BRIGHT-2020」を策定した。設備投資計画は累計300億円。このうち既存事業の能力増強、新製品・新規事業の創出といった戦略投資に150億円を投じるほか、M&A・事業提携投資として50億円を計画する。
 住友精化も3カ年の新中計を策定した。主力のSAPでは足元の原料価格高騰などを前提として収益性を重視する一方、化学品事業では注力する事業機会を「医療・生活・環境・エネルギー」に設定し、新製品開発に取り組んでいく。
 MORESCOは20年度までの「第8次中期経営計画」を実行中。研究開発では、M&Aや事業提携も念頭に置きながら、従来のエネルギー、情報関連、環境関連分野に加え、メディカル材料、半導体といった今後の成長が期待できる分野で新製品開発に力を注ぐ。
 世界経済は全般的に堅調だが地政学的な懸念材料が顕在化している。為替相場や原料価格などについても、今後も不透明とする見方が消えない。事業環境が不連続的であるなか、従来のの延長線上における中計では、大きな成長を実現するのは難しい。新中計に沿って、どこまで各課題に取り組むことができるのか。この数年間の各社の動きに注目したい。

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