西日本豪雨や大阪北部地震など例年以上に自然災害が頻発するなか、物流の重要性が改めてクローズアップされている。とくにトラックをはじめとする陸上輸送は、化学業界のみならず日本経済や国民生活を支える重要な手段だ。一方で若手を中心としたドライバー不足対策や適正運賃への是正が喫緊の課題となっている。陸運の強みである柔軟性に優れた輸送形態を維持するための取り組みが“待ったなし”であることを、従来以上に意識せざるを得ない。
 陸運のなかでもトラック輸送は国内物流の主要手段である。国内貨物総輸送量は年間約50億トン規模で推移。そのうちトラックの分担率はトン数ベースで約9割を占める。
 一方で陸運業界は、質の高い若い労働力の確保が課題となっている。現状は中高年層に依存しているため、さらなる労働力不足に陥る可能性が指摘されており、労働環境の抜本的な改善が不可欠だ。消防法に基づく危険物などを手がける化学業界では、競争力強化の一環として物流コストの削減を進めてきた結果、物流事業者が適正な利益を確保できていないことも人材不足を招いた一因とされる。
 こうした状況を受け国土交通省では、陸運事業者が適正な利益を収受できる取引環境を整えることが重要との観点から「運賃」と「料金」の定義を明確にした新たな通達を発出。また荷主とトラック運送事業者の間の運行契約のひな形となっている「標準貨物自動車運送約款」を昨年11月改正した。新約款では範囲が不明瞭だった運賃を「運送の対価」と定義。料金については付帯業務、積み込み・取り卸し、荷待ちなどを「運送以外の役務などの対価」とし運賃と料金を明確に区別した。
 荷主の都合によって工場や物流施設などにおけるトラックの荷待ち時間が生じた場合については、その対価として「待機時間料」を新たに規定。付帯業務の内容も、さらに明確化し「棚入れ」「ラベル貼り」などが追加された。
 全日本トラック協会でも、約款改正を機に、国交省と協力しながら具体的な改正内容などの周知徹底を推進。ドライバーの労働環境や賃金水準の改善、荷待ち時間の短縮による物流生産性向上などが期待される。
 物流業界の一部からは、上昇傾向といわれる物流費の現状に対し「値上げというよりも、ようやく是正されてきた」との声が上がっている。平時に限らず災害時においても陸運の役割は大きい。「縁の下の力持ち」といった旧来の意識を、荷主・事業者双方ともに改める時ではないか。

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