「単なる迷信。何の根拠もない」と思いつつも、古くからの言い伝えはどこか気になるもの。昨日の桃の節句のお祝いを終え飾り立てた雛人形の片付けを急ぐのが親の心情だろうか。「片付けが遅れると婚期が遅れる」という言い習わしは無視し難い▼雛祭りに立派な雛人形を飾り、女の子の健やかな成長を祈る習慣が庶民にも広がったのは江戸時代から。そのルーツは平安時代の貴族に流行した「ひいな遊び」にある。この遊びで使われた人形を、厄祓いの流し雛として川に流したのが雛人形の由来とされる▼娘の身代わりに人形が厄を受けたから、さっさと仕舞えと考えたなら、迷信としての理屈は通る。片付けが出来ないとお嫁に行けないからという説明もある。こうなるとむしろ、花嫁修業的な意味合いが濃くなる▼日本に限らず、古くからの習慣や行事は現代的な価値観とマッチしない。片付けと婚期を結びつける発想の底流には、「結婚するのが当たり前」、「結婚が女の幸せ」で、晩婚をよしとしない価値観があった▼さて、人形の撤収はいつがいいか。最大のポイントは湿気を避けること。晴天で乾燥した日の昼間が最適。もちろん何日目かは関係ない。ほこりを払って柔らかい和紙に包んで元の通りに箱に仕舞う。大抵は防虫剤を使った方が良い。全て合理的に対処すればいいことだ。(19・3・4)

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