物流各社による倉庫の新増設が相次いでいる。化学品の少量多品種化をはじめ医薬品や化粧品、香粧品、電子材料などファインケミカル関連に対象貨物が広がりをみせているほか、荷主企業の海外進出にともなう輸出入貿易の拡大などを受け、保管需要が増加傾向を維持。企業による安全対策強化やコンプライアンス重視志向なども背景に、危険物倉庫や高度な温度管理能力を持つ冷凍冷蔵・定温対応倉庫へのニーズも高まっている。こうしたなか人手不足に加え、近年頻発している自然災害などのリスクへの対応も物流業界全体の課題として浮上しており、拡大する需要への対応との両立が急務となってきた。
 日陸は今年2月、中部地域における新たな物流拠点と位置付ける「中部物流センター」(愛知県弥富市)を新設した。危険物や毒劇物をはじめ一般品も取り扱い、温度管理や保税にも対応。立体および平倉庫、定温・常温倉庫などで構成される大型センターで、津波などの災害や停電といった非常時に対する設備を備え、BCP(事業継続計画)対策にも重点を置いた施設となっている。今後、第2期工事を視野に入れており、順次拡張していく構え。
 三和倉庫は、同社最大の危険物保管能力を持つ総合物流拠点の「川崎事業所」(川崎市川崎区)内に危険物自動ラック倉庫を今年6月に新設。新倉庫は床面積1000平方メートル、高さ20メートルの建屋内にボンベ室と操作室をコンパクトに納めたオールインワン仕様で、保管効率の大幅な向上による省力化を図るとともに、IBC(中型容器)など多様な荷姿に対応可能とした。圧縮・引っ張りを繰り返すことで揺れを抑制する減振ダンパーをラックの柱と梁の接合部に採用するなど、地震・安全対策にも力を入れている。
 三菱ケミカル物流は、基幹拠点の一つである「首都圏ロジスティクスセンター」(埼玉県加須市)で、初となる定温・常温対応の危険物倉庫に加え、新たな一般品倉庫を今年10月に完成させた。老朽化した第1期倉庫をスクラップ&ビルドしたもので、ドラム換算で最大約660トンの危険物保管体制を構築するとともに、一般品ではセンター全体で従来比約30%増となる約1万5000トンに増強。今後の需給動向次第では、さらなる新倉庫建設計画を具体化させる考えだ。
 タイトな倉庫需給に対応した新増設が相次ぐなか、若年作業員の減少や自然災害といったリスクへの対応は喫緊の課題。設備の刷新と並行して、新たな観点で機能強化された物流倉庫が広がることを期待したい。

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