原燃料価格や為替の動向に加えて、米中貿易戦争なども背景に企業業績の先行きには不透明感が漂っている。発表が本格化した化学企業各社の4~9月期決算では、今後影響する大きな部分に、これらの要因が挙げられた。業績予想を修正する企業もあり、予断を許さない状況となっている。
 化学企業は前3月期まで、為替の円安傾向や原燃料安、製品市況の改善から大手を中心に高収益を謳歌してきた。今期に入り原燃料高や為替の円高の影響が大きくなり、各社の収益圧迫要因となっている。IoT(モノのインターネット)の進展を背景に半導体分野の需要はなお旺盛だが、牽引してきたスマートフォンの販売数量は中国の在庫調整などを背景に伸び悩み、これが部品メーカーの業績に影響を与えている。
 さらにトランプ政権による保護主義政策に端を発した米中貿易戦争が今後、どれだけ影響を与えるかは未知数だ。米国、中国ともに巨大な市場。両国に生産拠点を持つ自動車向け化学薬品メーカーの幹部は「それぞれ一国で完結しているため影響は少ない」とみるなど、直接的に大きな要因になっていない。だが、それぞれの市場において需要の足を引っ張りかねない。
 さらに人材確保も重大な経営課題と位置付けられる。IoTやAI(人工知能)の進展で優秀な人材が情報通信分野に集中するとの懸念もあるが、一部の業界に人材が偏ることは避けたい。いずれにしろ化学産業を含め切実な問題だ。外国人労働者の受け入れ拡大、65歳以上の雇用促進など政府も策を練る。
 先行きに不透明感があるなかで、持続成長を目指すには企業のさらなる自助努力が欠かせない。各社はあらゆるコスト削減に取り組む一方、幾度の過去の反省から、為替に左右されない経営体質の構築に取り組んできた。その経験を生かす時だ。
 さらに克服のカギは、やはり強固な財務基盤と付加価値の高い製品展開。各社の上期業績をみても、減益を強いられるなかにあって高付加価値品を揃える事業の収益は堅調だ。
 この時期に改めて、外部環境の変化に左右されない事業構造を、さらに追求すべきである。リスク回避のための対策を再確認し、経営基盤の一段強化を図るとともに、技術・製品の高付加価値化、さらには市場を先取りした技術開発を追求し続けることが重要。各社が成長分野に位置付ける情報通信、ライフサイエンス、環境・エネルギーなどを軸に、さらなる高付加価値化に拍車をかける必要がある。将来にわたって成長し続けるための要でもある。

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