さまざまな分野で利用が進む3Dプリンター。既存の技術では難しかった複雑な形状が成形できたり、金型などを準備することなくデータがあれば出力が可能といった利点がある。有望な分野の一つに挙げられるのが医療分野。とくに再生医療は患者ごとにカスタマイズしやすいこともあり国内外で活発に研究開発が進められている▼「剣山方式」というユニークな技術で事業化を目指しているのが九州大学発ベンチャー企業のサイフューズ。足場材料を使わずに細胞だけを使って臓器などを再生しようとする取り組みだ▼培養した細胞塊(スフェロイド)をステンレス製の極細針(剣山)に積層し3次元化する。細胞同士が凝集しやすい性質を利用したもので、患者の細胞だけでなくiPS細胞なども使うことができる▼例えば透析患者は人工血管を使った治療を行っているが狭窄などのリスクがある。自分の細胞で培養・造形した血管を移植できれば安全性は高く感染症にも強いという。自己再生しにくい関節の軟骨向けの開発も進んでいる▼3Dプリンターで造形した臓器は創薬支援ツールとして毒性評価にも使える。この領域では積水化学と業務提携した。経済産業省のスタートアップ支援プログラム「J-Startup」にも選定されており、今後の飛躍が楽しみだ。(19・7・5)

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