5G(第5世代移動通信システム)の実用化が目前に迫っている。大容量・低遅延・多接続を可能にするこの技術は、これまでの社会のあり方を一変させる可能性を秘めている。本格運用の2020年を前にプレサービスの実施も予定されるなど、19年はこれまで以上に5G関連の話題が耳目を集めそうだ。
 5Gまでの道程を振り返ってみよう。バブル時代の象徴としてお馴染みの「ショルダーフォン」の登場が1985年。これは通話機能のみの1Gだった。93年にはネットやメールに対応した2Gでデジタル化し、以降は高速データ通信の3G、さらなる大容量・高速通信化を可能とした4Gへと変貌を遂げていった。
 これまでの進化を考えると、5Gは“高速ネットワークの改良版”と思われがちだ。しかし「インターネットが普及した時以上の変革が起きる」(ソフトバンク)と予想されており、単なる改良ではなく“新たな超高速ネットワークの出現”と捉えるべきだろう。
 5Gは現状の100倍の速度を持つ。2時間の映画を3秒でダウンロード可能だ。またタイムラグを意識せず、リアルタイムで遠隔地のロボットを操作することも可能。さらに自宅で端末やセンサーをネットと接続する場合、現行ではスマートフォンやパソコンなどの機器、数個止まりだが、これが100個程度つなげられるようになる。つまり5GはIoT(モノのインターネット)時代のICT基盤といえるのだ。
 産業に与える影響も計り知れない。通信が増えれば扱うデータ量も加速度的に拡大する。基地局の増設が進むにつれて、インフラ面でのデバイス使用数も急増することになる。
 5Gがもたらすシェアリングエコノミーが現実味を増している現在。トヨタ自動車が宣言したように、モノ売りからコト売りへのシフトに注目が集まって久しい。しかし、そのサービスを実現するのは、あくまでも素材やデバイスの集合体だ。データの利活用が今後の企業の成長を左右すると言われるが、そのデータを蓄積・処理するのはデバイスに他ならない。
 5Gビジネス参入を計画するメーカーは、まずはメーカーとしての軸足を明確にするべきであろう。コト売りに踊らされることなく、技術開発に磨きをかけることが先決だ。例えば、5Gは高い周波数帯の利用に期待が寄せられているが、この高周波対応の実現がビジネス拡大のカギを握る。
 「材料からの差別化」-。5G社会への対応はモノづくりの持続成長の試金石といえる。

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