「天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず」。福沢諭吉の「学問のすすめ」のなかで冒頭にくる有名な一節だ。ここだけ読めば一貫して平等をうたっているようにみえるが、実際には、貧乏になりたくなければ学習しろ、という意味を持たせた部分に結び付けるためのものだという▼囲碁の盤面の画像を学習させた人工知能(AI)「アルファ碁」を開発した会社が、日本人約3万人分の乳房のエックス線撮影画像から早期に乳がんを見つけ出すAIの開発に乗り出す。乳がんの早期診断につながれば何よりである。AIには、どんどん学んでもらいたい▼先週、大手化学メーカー主催のフォーラムで講演した大阪弁護士会副会長の小林正啓氏は、人と人の間、つまりマネージャーとワーカーの間にAIが入り込む時代がくると指摘した。まさに中間管理職の仕事はAIに置き換わり、人間を指示する存在になる。いくつかのワーカーの仕事もAIロボットがこなす時代になるだろう▼AIが自ら学び賢くなることで、我々の健康を守り、生活を豊かにしてくれることはありがたい。ただ、自動運転車の発達などで想定される法整備の必要性も小林氏は指摘する。ゆくゆくは人間の生活を脅かすことがないよう、「人の上にAIを造らず」という法律が定められる日が来るかもしれない。(18・10・11)

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