床に入ってしばしの間、子守歌代わりに携帯端末でプロの将棋を観るのが日課になって3カ月が経つ。動画では棋戦をそのまま中継するため、動かない画面を観ていると眠くなる。だが、ここ1カ月は観戦が入眠には逆作用になっている▼とくに高校生棋士の藤井聡太七段の将棋は目が冴えてくる。昨年、将棋界に現れた新星はあれよあれよという間に史上最高の連勝を果たしたと思ったら、今年に入っても勢いは止まらない。強さにすごみが増してきたようだ▼読みの深さからくる大胆な手と相手を真綿で締めるような老獪さが加わって、大山康晴名人と羽生善治永世7冠が合わさったような強さで快進撃している。7大タイトル戦の竜王戦、王座戦、棋王戦で予選を勝ち上がり、決勝トーナメントに進んでいる▼面白いのはソフトを超えるという表現がネットなどで見られることだ。直近では石田直裕六段との対戦。コンピューターが悪手とする手を平然と指し、観戦子などが棋譜を見間違えたかと思う飛車切りで勝っている▼ソフトは悪手を指さない。人間は悪手を指す。だが、ソフトが指せない最善手を打つ。人間の頭脳の底力を見せつけてくれたわけだ。AIの進歩でこうしたことはどんどん少なくなっていくだろう。だが、それを覆す手の出現を期待するのは私だけではないだろう。(18・6・22) 

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