化学企業にとって工場におけるAIやビッグデータの活用によるIoT化は、技術伝承の面からも必須になっているが、具体化にはいくつかの要件をクリアする必要がある。特に人の問題は最大の課題ともいえるハードルだろう▼化学産業を研究対象とするある大学教授は言う。「石油化学や石油精製産業は工学系の大学や大学院で自然科学系の学問を修めた有能な人材は多くいるが、数学、物理系など人工物の科学やその設計を専門に身につけてきた人材を過去にあまり採用しておらず、そのような社員は極めて乏しい」と▼AIなどを使ったスマート工場作りにはこうした人工物の科学や設計を専門とする人材によるところが大きい。そしてこうした人材群は、化学会社に多くいる自然科学系の学問を修めた人材群とはタイプが違う。映画「シン・ゴジラ」でゴジラを倒すため緊急招集される人々を思い浮かべるといい▼仕事場でTシャツにジーパンが不思議ではないこうした化学にはほとんどいない人々の能力をどうやって取り込んでいくかが課題となる。企業文化を変えるところまで行き着かねばならないかもしれない。バイリンガル人材紹介企業によれば、テック系の求人倍率は4~5倍という。採用し、企業に根付かせる。化学企業にとってやらねばならない仕事は多そうだ。(18・4・6)

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