NECは8日、多種多様なコロナ型ウイルスに共通して対応できる次世代ワクチンの開発を開始したと発表した。ワクチン開発に資金を拠出する国際基金「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」から最大480万ドル(約5億9000万円)の支援を受ける。今後2年間で動物を使った免疫反応試験までを行い、その後は製薬企業などと共同で数年掛けて臨床試験を実施。新たな変異株に備える。

 新型コロナウイルスやMERS(中東呼吸器症候群)ウイルスなど100種類以上あるベータコロナウイルス群すべてに対応できるmRNAワクチンの開発を目指す。その際、同ウイルス属に含まれる650万以上のゲノムデータを、同社の人工知能(AI)を使って解析し、ベータ群に共通する抗原を見つけ出すことで、変異に強いワクチンを創製する。

 従来ワクチンの特徴である抗体によるウイルス不活化のほか、感染した細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞も組み合わせたワクチンを設計する。免疫応答は10年以上持続するとされており、効果の長期持続も期待できる。

 NECの遠藤信博会長は8日の会見で、「CEPIからの資金支援は、当社のAI創薬技術が世界トップである証。自信を持って開発を進めていきたい」と語った。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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