日本化学工業協会が今月6日に「SDGs部会」の第1回会合を開いた。同部会は持続可能な開発目標(SDGs)についての情報共有などを目的に新設したもので、理解を深めるために外部講師による講演も行う。世界的に大きな盛り上がりを見せるSDGsだが、初会合で講師を務めたPwCサステナビリティの三橋優隆会長は「大きなチャンス。これに乗らない手はない」と前向きにとらえる重要性を強調した。
 経営の重要なキーワードとなったSDGs。目標達成に向けた取り組みが活発化しているが戦略・戦術にまで落とし込めている企業はまだ少ない。人類共通の課題として17のゴールを明示するSDGsは「プロジェクト管理には最適だが、ある意味で細かすぎる」(日化協)ためだ。環境経営やCSR経営で実績のある企業でも経営戦略、さらに経営理念にまで持っていくのは簡単ではないようだ。
 17のゴールは経済、社会、環境という3つの要素に大別できることを考えれば、日頃行っている事業活動は何かしらのかたちでSDGsに関わっている。まず、この関わりを見つけ、その事業をSDGsの視点で見つめてみることが第一歩となる。昨年5月に化学産業としてのビジョンを策定した日化協も、経済的な成長戦略とCSRなど社会的責任に関わる活動を経営として一体化させることが、ビジョン実現に不可欠とする。
 日化協は今秋、会員企業のSDGsに関する取り組みを事例集としてホームページに掲載する。「気づき」となるような内容をインタビュー形式でまとめた。まず製品や技術を取り上げるが、単に製品の機能を紹介するのではなく知的財産権などの話も盛り込みたいとしている。SDGsを戦略として考えるためのヒントも得られそうだ。
 会員企業に取り組み事例を知ってもらうとともに、化学企業の活動をアピールすることが事例集の狙い。最終製品メーカーや小売り事業者に素材や技術をもっと知ってもらえれば、課題解決に向けた連携や新技術が生まれるかもしれない。もちろん機関投資家や消費者などへのアピールも重要であり、海外に向けて英語版も作る予定だ。
 欧米企業はSDGsをグローバルな経営指針になるととらえ積極的に動いており、アピールのうまさを感じさせる。社会課題の解決を起点にビジネスを創出し、成長していくことがSDGsにおける企業の役割と考えれば、日本企業も、もっとどん欲にアピールしてよいだろう。SDGsは難しいが、できることから前向きにやっていくのが一番の近道かもしれない。

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