中外製薬は、同社が創製した抗体医薬「アクテムラ」を用いた新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした国内第3相臨床試験(P3)を開始すると発表した。8日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験届を提出した。規模など治験の詳細については、現在、詰めている段階。今後、決まり次第、公表し、速やかな患者登録を目指す。
 新型コロナウイルス感染症を対象としたアクテムラの治験は、既に海外では立ち上がっている。スイス・ロシュグループは米国、カナダ、欧州を含む世界各地で重症の入院患者約330人を対象としたP3を行うことを決めている。また、中国では有効性が確認できたことから、治療指針に盛り込んでいる。
 関節リウマチ治療薬として使われるアクテムラだが、重篤化した新型コロナウイルス感染患者で生じる過剰な免疫反応、いわゆるサイトカイン・ストームに対して改善したとの報告がある。炎症の原因となるインターロイキン-6(IL-6)にアクテムラが結合し、過剰な免疫反応を引き起こすシグナル伝達を抑え込む作用を持つためだ。

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