ポリエチレン(PE)製の気泡緩衝材といえば「プチプチ」。この分野のパイオニアで市場シェア50%超を握る川上産業の登録商標だ。このほど同社が発売した新製品の商品名は「スパスパ」。気泡が円形ではなく四角い形状となっている。はさみやカッターを使わず手でまっすぐに切れる▼「“手切れ性”は以前からあったニーズだった」というのは開発を担当する佐藤浩司執行役員。10年以上もかかった労作で、「80点まではいったが、そこから完成度を高めるのが難しかった」▼縦にも横にも自在に切れるようにしながら梱包材としての強度を保持するのが課題だった。「あきらめかけたこともあったが、偶然も味方して開発にこぎ着けた」。新しいブランドとして育てたいと意欲をみせる▼同社は早くからリサイクルに取り組んでおり、年間3万トン近いPE使用量のほとんどは再生原料。フィルムの端材から牛乳瓶のふたまで再利用する。当初はメリットが感じられず評判も良くなかったようだが、経営陣に先見の明があって改善を続けてきた▼来る8月8日は「プチプチの日」。粒の並びの一部が8に見えることなどにちなんだ。例年は事業所の近くでグッズを無料配布していたが、今年はオンライン開催。お気に入りの使い方をSNSで募集するなどのイベントを企画している。(21・8・6)

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