日本のデジタル化の遅れがコロナ禍で露呈した。現金10万円の一律給付はオンラインでの申請に不備が多いとして、各自治体が相次いで郵送での申請に一本化したことは記憶に新しい。テレビなどでも厳しく指摘された▼では、企業の方はデジタル化が進んでいるのか。デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組み状況について日本能率協会が調査したところ、5割超の企業がDXの推進・検討に着手済みという。大企業に限れば8割を超える▼その目的として重視することは業務プロセスの効率化・生産性向上が8割を超え、既存事業の付加価値向上も7割超。比べるとデジタル技術を活用した新事業開発、抜本的な事業構造変革に対する注目度は低く、まだ「守り」の範囲を抜け切れていない▼また、DXを推進するうえでの課題は、これに関わる人材の不足と答えた企業が多かった。DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確でないとの声も多数あり、具現化に向け課題は多いようだ▼我が国でもデジタル庁なるものが計画されている。省庁間の情報システム一元化、これに準ずる新たな地方自治体の情報システム構築や府省庁が実施するデジタル関連施策の司令塔の役割を担う。DXについても民間企業を先導するような「攻め」の戦略を示して欲しいものだ。(20・10・8)

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