いまや国民的な俳人と言っていいのだろう。いいのだろうがしかし、この人の作った俳句を読んだことがある人はあまりいないかもしれない。テレビ番組「プレバト!!」で梅沢富美男さんとの絶妙のかけあいをみせて人気の夏井いつきさんだ▼感心するのは、その添削の鮮やかな手際。そして、この手際に出演者たちが、やや大げさに感心している場面がこのコーナーのハイライトだろう。添削のポイントはいくつかあるだろうが、番組をみていて肝心だと思うのは、「盛りこみすぎ」「ひとりよがり」などを解消し、無駄を排除し感動の中心を際立たせるということだろうか▼番組では、ちゃちゃっと直しているが、たとえ実作者として長い経験を積んだ人であっても、あれほど根本的に構成を組み替えたりする添削をするには、相当の時間をかけて“宿題”をしてきているのではないか。一作につき一時間、いやそれ以上かかることだってあるかもしれない▼「プレバト!!」では、俳句だけでなく水彩画や生け花、手工芸などでも先生の見事な“添削”を味わうことができる。なかには添削というよりすでに別のオリジナル作品という感じのものもある。いろんな先生たちの直し方をみて思うことは、人の良いところを伸ばすためのコーチングは、これまた訓練が必要だということだ。(21・2・24)

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