新型コロナウイルスの感染拡大が社会・経済に大変革をもたらしつつある。企業も働き方の根本的見直しが迫られている。ウィズコロナ/アフターコロナ時代には従来の常識が通用しなくなるとの指摘もある。持続的な成長を果たしていくには人工知能(AI)やロボティクスなどの新たなテクノロジー導入を含め、「ニューノーマル時代」を切り拓く取り組みを怠ってはならない。

 日本では昨年4月の緊急事態宣言発令を機に、在宅勤務やテレワークへの移行が進展。従業員の交通費やオフィスの賃料をはじめとしたコスト削減効果のほか、育児や介護に携わる人材の雇用などのメリットが再認識されている。テレワークにともないオンラインによる会議や研修、さらにはリモート営業も増えてきている。

 コロナ禍は、eコマース、自動化、サプライチェーンの最適化など新たなテクノロジーの採用を加速させる引き金にもなった。こうしたなかで自動認識ソリューションを展開しているゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーションが、このほどレポートを発表。2021年に企業が導入を進めるべきテクノロジーとして情報を収集、処理、解釈し行動を指示する機能を備える「コンピュータビジョン/マシンビジョン」「AIおよびロボティクスを含むインテリジェントオートメーション(IA)」「小売/倉庫の自動化」「データアナリティクス/プリスクリプティブ(処方的)アナリティクス」を挙げている。さらに新時代におけるビジネスを成功させるうえで「オペレーションと収益性を維持するために、新たなテクノロジーによるソリューションを統合することが重要になる」としている。

 製造、物流業界でAIの活用がさらに増えるとみられる。また倉庫管理やサプライチェーンでは物理的な自動化、RFID(電波を利用した非接触型の自動認識技術)、温度検知テクノロジーが、人間と相互作用し協働する「コボット」を含むロボティクスの成長と組み合わさって業務の改善が期待される。

 一方で「新しい働き方」では人との対面接触をできる限り減らすことが基本となる。ただ社内におけるコミュニケーションでのすれ違いや、生産性・チームワークの低下、さらにはセキュリティリスクの高まりといった懸念がある。それだけに、それぞれの課題解決に必要なスキルを全社的に身に付ける必要がある。何より経営者を含めた社内の意識改革が重要だ。歴史的大転換を乗り越え、社会やビジネス環境の変化に、いかに適応していけるかが問われる。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

社説の最新記事もっと見る