日本プラスチック工業連盟が行っている「プラスチックのイメージ調査」などの中間報告が公表された。プラスチックの、より効果的な広報・啓発活動に資することを目的に明治大学商学部の高橋昭夫教授に委託しているもの。今回、文系の大学生を対象に3年間にわたって実施した結果が示された。
 それによると、プラスチックが「身近なものである」「役に立っている」との設問に対し、ともに「そう思う」「どちらかといえばそう思う」との肯定的回答が合わせて95%前後となった一方、「健康に対して安全」「環境にやさしい」などの設問では10~20%止まり。マイナスイメージである「燃やすと有害物質が出る」「ごみとなって環境を悪くしている」では「そう思う」「どちらかといえばそう思う」が80~90%にも達した。
 2017~19年の年別に調査結果を比較すると「健康に対して安全」「環境にやさしい」が低下傾向にある一方、「ごみとなって環境を悪化」が増加。海洋プラスチックごみや廃プラ輸出問題の報道によるイメージ悪化が如実である。「有害物質が出る」の設問でも同様だ。ダイオキシンやホルムアルデヒドは自然物からも発生するが、一時の報道過熱でプラスチック特有の問題と誤解されている。適切に処理すれば有害物質は発生しないのだが知られていない。
 原油総量のうちプラスチックに使用される比率を聞いたところ、17年は33%程度(平均値)だったが、18年38%程度、19年40%程度と上昇している。実際は5%程度であるのに、ネガティブな報道が増えるにつれ、プラスチックが資源利用において現実以上に負担を掛けている印象を与えている。プラスチックとしての使用比率が100%と答える回答者もいたとのこと。ガソリンや石油ストーブなどが身近でなくなった若者が増えた影響もありそうだ。
 リサイクルに関しては肯定的回答の比率が高い。レジ袋や生分解樹脂製容器の受け入れ許容価格は、最頻値がともに10円。「費用負担もやむなし」と考える学生は多かった。行動を起こせる消費者が増えているからこそ、意味ある活動をとってもらうために知識を浸透させる努力が求められる。例えばサーマルリサイクルに対する理解度は低いと言わざるを得ないが、経済性のみならず環境合理性という点でもサーマルが相応しいケースは多いのではないか。プラスチックによる社会貢献と、最も環境負荷の少ない処理方法を素材別、用途別に分かりやすく指し示す必要がある。正しい理解と行動を促すべく、業界を挙げた取り組みを期待したい。

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