政府は、2022年度の実質GDP成長率を3・2%程度、名目GDP成長率を3・6%程度と予想した。GDPは564・6兆円と過去最高が見込まれている。21年度の補正予算は一般会計の総額が35兆9895億円に上り、補正予算として過去最大となった。山際大志郎経済財政政策担当大臣は「いわゆる16カ月予算の考え方による予算編成などによって、公的支出がしっかりと経済を下支えするなか、足元で持ち直しの動きがみられる消費のさらなる回復や、デジタル化・グリーン化などをはじめとした企業の設備投資が喚起されることにより、民需を中心とした成長が見込まれる」と述べた。政府が予想する過去最高のGDPが達成できる年になることを期待したい。

 上場している主な専門商社の多くが21年4~9月期業績で増収増益を計上した。過去最高の補正予算も追い風に、22年3月期決算も好調に推移することを望みたい。21年4~9月期は、海外では新型コロナに対するワクチン接種が進み経済活動が再開した地域が増えた。米国は景気持ち直しの動きが続き、中国経済も緩やかに回復した。欧州も景気持ち直しの動きを見せた。タイやインドネシアなど東南アジアでは、感染再拡大により規制が強化されるなど回復に濃淡が見られた。日本は一時的に感染が急拡大したが、ワクチン接種のおかげだろうか、昨年末までには大幅に感染者数が減少し、夜の飲食店も活気づいてきた。

 経済回復が期待されるものの、今年も新型コロナウイルスの変異に起因する感染の再拡大や、国際的なサプライチェーンの混乱による半導体・粗原料の需給への影響、また高騰している原材料市況の軟化など、いぜんとして先行き不透明な状況が続いている。

 まさに混迷の時代といえるが、専門商社各社は、これまで構築してきた独自のネットワークを駆使して、商材の安定した調達と供給に尽力して欲しい。

 またSDGsへの対応も進みそうだ。低炭素社会、循環型社会、汚染防止、生物多様性の保全など、さまざまな課題が挙げられるが、こうした社会を実現するうえで必要な商材の提供に取り組むことをビジネスチャンスととらえることもできるだろう。

 DXへの取り組みも重要になる。社内のデジタル化による効率化と生産性の向上に取り組む専門商社が増えてきている。感染再拡大となれば再びコミュニケーションが取りにくくなる恐れもあるが、社内DX化の推進によって、こうした課題も乗り越えられる可能性が高い。今年も専門商社の活躍を期待したい。

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