化学研究評価機構(JCII)が先月、プラスチック製品の劣化・寿命予測に関する第1回目の勉強会と個別相談会を都内で開催した。この2つの会は、昨年12月に発足した「劣化・寿命予測研究会」の活動の柱。勉強会や相談会を通じ、個々の事業者が製品開発や品質保証などで抱える課題解決を支援するとともに、課題を抽出して新たな試験・評価方法の開発などにつなげていく。6月に2回目の勉強会を開催する予定だ。
 プラ製品の劣化の要因はさまざま。劣化や寿命の予測には専門的な知識や装置も必要になるが、大学などの研究機関や公設試験機関に相談するのは敷居が高いと感じる事業者も少なくないという。分からないことを気軽に聞ける場として設立されたのが劣化・寿命予測研究会。プラスチックの試験・評価で豊富な実績を持つJCIIが事業者と研究機関・公設試を橋渡して課題解決を支援する。40社が参加している。
 先月の勉強会には約30人が出席。「劣化についての基礎」をテーマに、岩崎電気から招いた講師が各試験機の特徴などを踏まえながら促進耐候性試験の試験方法を解説するとともに、実際のサンプル調整やその評価の実例を紹介した。同時に課題解決やトラブルシューティングのための個別相談会も開催。こちらには2社が参加した。
 勉強会の冒頭、JCIIの西出徹雄理事長は「現実に答を出す会としたい」と勉強会の位置づけを述べたうえで「答を出すには、参加者が個々の課題の実態について語り、議論しなければならない」と強調した。上司の許可を得なければ具体的に話せない事例もあるだろうが、西出理事長の経験では1年ほど会を続けていくと具体的な話が出てくるという。
 このため2年ほどは勉強会と相談会を中心に活動していく。年に3~4回開く勉強会での議論や相談の内容から、共通化できる課題を抽出してワーキンググループを作り、その解決策の検討へと研究会の活動をステップアップしたい考えだ。ステップアップは3年目を予定しており、JCIIの標準化事業として測定方法や装置開発を支援することも視野に置いている。
 海洋ごみ問題を受けて“脱プラ”の動きが活発化している。だが、プラスチックは日常生活のさまざまな場面で使われており、その重要性は今後も大きくは変わらない。再生利用も含めて、いかに上手く使っていくかが重要であり、劣化と寿命の予測が大事になる。勉強会が業界の課題解決はもとより、循環型社会構築のための議論の場となることを期待する。

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