機械商社が3Dプリンタービジネスへのアプローチを強めている。海外メーカーと販売代理店契約を結び、日本国内でのプリンター本体の販売はもとより、使用材料の提供やサポートまで一貫したサービスの提供に努める企業も少なくない。3Dプリンター市場は、機器と材料の性能アップを受け、これまで以上の需要増加が予測される。商社など各企業の活発な活動によって、より有用性が認識され、普及が進むと見込まれる。

 矢野経済研究所の調査によると、3Dプリンター用材料の世界市場における2021-26年の年平均成長率は24・0%となり、26年には9125億3200万円の市場を形成すると予測される。3Dプリンターは、装置の高速化とともに機械的特性や耐熱性を高めた材料の開発などが進展し、試作品や治工具、少量・中量生産用途として導入が広がると考えられている。

 21年の3Dプリンター材料の世界市場の規模は、前年比19・3%増の3111億5300万円(エンドユーザー購入金額ベース)と推計され、成長が顕著となっている。産業向けでは3Dプリンター性能向上とともにポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルイミド(PEI)のようなスーパーエンプラや、ガラス繊維(GF)・炭素繊維(CF)強化グレードなど、物性が高く実部品向けとしても利用可能なフィラメントが製品化されてきた。コロナ禍によって製造現場の稼働率低下の影響を受けていたが、21年後半からフィラメントの需要は回復に転じているという。

 このような市場の拡大傾向を背景として、機械商社をはじめとするさまざまな企業が3Dプリンタービジネスに力を注いでいる。例えば21年12月には、機械商社の第一実業およびクリモトの2社が、米ストラタシスの日本法人であるストラタシス・ジャパンと国内販売代理店契約を結び、同社製品の受注・販売・技術サポートを行うことを明らかにした。すでに丸紅情報システムズ、アルテックなど3社がストラタシスの販売代理店として活動しているため、5社体制で同社製品を供給することになり、国内での販売が一段と加速しそうだ。

 これらの販売代理店のなかで第一実業は、19年から独ボクセルジェットの3Dプリンターおよび周辺装置、材料まで販売し、グループ企業を活用してサポートにも取り組むなど、同ビジネスへの取り組みを強めている。

 3Dプリンターの活用も、これまでの試作品での利用から大量生産への導入が見込まれ今後、本格普及に向けた動きが活発化するだろう。

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