新型コロナウイルス終息後の経済は、どうなるのか。悲観論と楽観論が入り乱れている。代表的な悲観論は「世界全体で厳しい経済状態が続く」というもの。各国でのロックダウン、外出自粛要請、渡航規制などのウイルス封じ込め策により、消費者の行動範囲・機会が縮小し、事業活動が制約されることで需要、供給両面での経済活動が大きく抑制される。その結果、消費マインドや雇用・所得環境の悪化により、経済低迷の長期化が懸念されるという。

 景気回復のためにも政府の有効な施策が期待される。新型コロナ感染拡大で苦境に立たされた中小企業や家計を支援するため、第2次補正予算案が閣議決定された。1次補正の施策をさらに拡充した内容だが、問題は迅速な執行だ。1人10万円の特別定額給付金は、まだ届いてない家庭が多い。「マイナンバーカードを使おうとしたら、かえって手続きが煩雑」という本末転倒の結果に陥っている。雇用助成金も同様で、支給に手間がかかると不満の声が上がっている。政府の対応は常に後手に回っているようにみえるが、消費を再び喚起させ、景気を回復させる努力を続けて欲しい。

 一方、楽観論は「今年度下期には概ね回復する」というもので、その前提の下に通期業績予想を発表している企業もある。中国においては、店舗が再開したことで、これまで我慢していた消費者が積極的に買い物に出かける「リベンジバイイング」と呼ばれる現象が起きているという。外出が減って買い控えていた化粧品関連の商材も、中国や韓国では購買活動が戻ってきたという話もある。中国人のネット通販利用がかなり増え、マスク、除菌剤に加え、日用品や化粧品、免疫力を高める健康食品などの販売も好調という。日本でも、在宅勤務や学校の休校によって自宅にいることが増える一方、店舗が休業しているためネット通販の需要が増加している。さらに株価も好調で、5月28日の東京株式市場の日経平均株価は4日続伸し、約3カ月ぶりの高値となった。

 ある商社の社長は「新型コロナの影響で大きなパラダイムシフトが起きる可能性がある」と指摘する。商社には「モノ・コト・情報を新たにつなぎ直す、ネットワーク化することが求められる」と混迷の未来に挑む。日立製作所は、コロナ終息後も在宅勤務を続け、週2~3日の出社でも効率的に働けるよう人事制度を見直すと発表した。在宅で増える光熱費などの手当も支給するという。コロナ後のニューノーマルは、どのような世界になるのか。これを商機に変える知恵が求められる。

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