アジア最大級の分析機器・科学機器の専門展示会である「JASIS(ジャシス)2022」が9月7~9日、幕張メッセ(千葉市)で開かれる。会場ではカーボンニュートラル、ライフサイエンス、デジタルトランスフォーメーション(DX)、環境関連といった産業界のトピックスについて数多くのセミナーなどが行われる。わが国の研究開発や、工場の生産技術を支える装置の展示会として、さらなる飛躍を期待したい。

 日本分析機器工業会、日本科学機器協会が主催するJASISは、欧州「アナリティカ」、米国「ピットコン」と並ぶ最先端科学・分析システム&ソリューション展として成長してきた。日本の科学機器展としての歴史は半世紀を超えており、JASISの統一名称となって今年で10年を迎える。これを記念し、専門家や有識者によるセミナー、説明会など、さまざまな趣向を凝らし、企業が抱えるさまざまな「課題」の解決についてヒントを提供していく。

 とくに、わが国の製造業の重要テーマである脱炭素社会を目指したカーボンニュートラルや、水素エネルギーについて最新の動向を紹介。また世界的な電気自動車(EV)普及に向けて要となるリチウムイオン2次電池(LiB)の生産効率の向上や、性能評価の現状を伝える。

 ライフサイエンス分野をみると、製薬向けでは各社で取り組みが進むバッチ連続生産方式の実用化をはじめ、製薬プロセスのデジタル化などが紹介される。食品業界向けでは、日本発の発酵工学に関する展望が議論される。

 環境関連では、世界的に広がる化学物質規制の最新動向について解説やパネルディスカッションを予定。プラスチック資源循環に関する政策や課題のほか、海洋マイクロプラスチック汚染で環境省の取り組みが紹介される。

 毎回、大勢の聴講者を集める「新技術説明会」は約60社、200セッション以上を予定する。各社の技術者が新技術、新製品、分析・計測のノウハウを解説する。

 課題だった、来場が難しい地方のビジネスマンについてバーチャル展示会「JASISウエブエキスポ」が公開される。そして23年2月1~3日に「JASIS関西」(会場・グランキューブ大阪)を開くことも決定した。

 コロナ禍やエネルギー価格上昇、半導体不足、サプライチェーンの混乱が企業活動の足かせとなっている。厳しい環境下、最新の分析機器で製品開発を加速し、差別化商品の投入が急がれている。それを支援する最新技術に出会う場として、さらにJASISが活用されるべきだろう。

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