新型コロナウイルスの感染拡大は、いまだ明確な収束の道筋が見えず、現在も国内外で感染者が増え続けている。アフターコロナを見据え、これを機に働き方改革を進めようとする企業も多い。それら取り組みを支援するため、多くのIT関連企業が働き方改革ソリューションの提案に力を入れている。

 矢野経済研究所の調査によると、2020年の働き方改革ソリューションの市場規模は前年度比11・0%増の5186億円と予測している。今年2月25日の日本政府による「新型コロナウイルス対策の基本方針」や、4月7日・16日の緊急事態宣言の発出・拡大などにより、3月以降は在宅勤務を主とするテレワークが急速に増えた。それにともないウエブ会議システムをはじめ社内SNS、ビジネスチャットやシンクライアント・VDI(クライアント仮想化)、オンラインファイル共有サービスなどの導入が拡大していると分析している。

 さらに同調査では、オンライン授業やオンライン営業などの社会経済活動のIT化・デジタル化が注目されており、緊急事態時のBCP(事業継続計画)の観点からも、企業や教育機関などで今後IT投資の拡大が見込まれ、働き方改革ソリューション市場が拡大基調にあると結論付けている。

 企業規模の大小を問わず、各社がテレワークのためのインフラおよび各種機器の導入を推し進めているようだ。テレワークで必要となるパソコンやネットワークシステム、プリンターやスキャナーの導入を本格化し、これによって自宅や出先などオフィス以外の環境下でも業務を円滑に遂行できるよう体制を整えたところも少なくない。

 現在のテレワークの急速な普及は、IT系企業にとって降って湧いたビジネスチャンスとなっている。各社とも社会貢献の意味合いを含みながら、顧客に対するソリューション提案を積極化している。

 例えば伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は「新型コロナウイルス感染症の拡大防止につながるCTCのソリューション」、コニカミノルタジャパンは「新型コロナウイルス対策関連ソリューション」、丸紅情報システムズは「テレワークソリューション」を、それぞれ訴求している。これらIT系商社以外でも、数多くのIT関連企業がさまざまなソリューションの提案に取り組んでいる。

 コロナ禍で思わぬかたちでテレワークが進展しつつあるが、そのインフラ整備に貢献しているIT系企業には、重要な役割を担っているという認識の下、普及に努めてもらいたい。

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