★昭和電工 

 昭和電工の2021年1~6月期決算は最終損益が134億円の赤字(前年同期は545億円の赤字)だった。半導体関連製品が好調で、石油化学製品の市況上昇や黒鉛電極の販売持ち直しもあって営業損益は475億円の黒字(前期は257億円の赤字)と大幅に改善。だが、鉛蓄電池事業の売却に伴う事業構造改善費用など約600億円の特別損失を計上したことが響いた。

 売上高は2・2倍の6933億円。前期の下期から連結決算に取り込んだ昭和電工マテリアルズや昭和電工が手掛ける半導体関連製品は旺盛な需要を受けて販売数量が想定を上回るペースで伸びている。電炉鋼の生産に使う黒鉛電極は販売増に加え、前期の棚卸資産定価法による簿価切り下げの戻り益もあり大幅な増益を確保。データの記録媒体のハードディスクもデータセンター向けを中心に販売を伸ばした。

 通期業績予想は今月3日に修正。売上高は前期比43・8%増の1兆4000億円、営業損益は850億円の黒字(前期は194億円の赤字)、最終損益は250億円の赤字(前期は763億円の赤字)の予想を立てた。21年7~12月期に約150億円の事業構造改善費用を追加計上するなど、通期で約765億円の特別損失を見込んでいる。

 7~12月期の営業利益は374億円と1~6月期比で減益の予想を立てた。石油化学製品で原料ナフサ価格の高止まりに伴うスプレッド(製品と原料の価格差)の縮小やアルミニウムなどの事業売却に伴う減収、昭和電工マテリアルズとの統合費用が下期に増えることなどを織り込んだ。

 竹内元浩CFO(最高財務責任者)は10日のオンライン決算説明会で、下期の見方について「特殊要因を除く事業全体の基調は上期と大きな変化はない」と説明した。

★DIC

 DICの2021年1~6月期決算は営業利益が前年同期比53・1%増の273億円だった。自動車・半導体需要の拡大が牽引する状況が続き、全セグメントが大幅増益。インキ・パッケージ材料はアジアで原材料費高騰の影響を受けたが、欧米市場での価格改定などが奏功して堅調を保った。通期予想は旧BASF顔料事業(現カラー&エフェクト社)の買収完了を織り込んで上方修正した。

 売上高は同14%増の3917億円、経常利益は同81・5%増の282億円、純利益は同55・1%増の160億円だった。エポキシ樹脂などの高付加価値品やPPSコンパウンドを手がけるファンクショナルプロダクツが全体を牽引。販売拡大が原料高の影響を相殺し、同7割超のセグメント増益となった。パッケージング&グラフィックは同2割の増益。パッケージ用インキの堅調に加え、屋外広告など産業用ジェットインキの反動増が大きく寄与した。

 カラー&ディスプレイも同5割超の増益。とくに機能性顔料が好調で、不調だった21年1~3月期に比べも海外需要が大幅に回復した。欧米で化粧品用途が復調したほか、ディスプレイ需要の高まりでカラーフィルター用顔料の出荷が好調。他方、液晶は中国メーカーとの競争激化で苦戦が続く。

 6月末のカラー&エフェクト社買収完了にともない、通期予想は上方修正。売上高は前回予想比900億円増の8400億円、営業利益は同30億円増の480億円とした。うちカラー&エフェクト社の寄与は、売上高で600億円。営業利益は一時費用の増加などもあって5億円とした。

★日本ペイントHD

 日本ペイントホールディングス(HD)の2021年1~6月期決算(国際会計基準)は、増収増益で着地した。中国の汎用塗料が好調に推移したことなどにより、売上収益は前年同期比44・1%増の4976億円、営業利益も各地で原材料価格が上昇したにもかかわらず、増収効果によって、同40・3%増の486億円となった。

 日本では自動車用塗料が半導体供給不足の影響を受けるも増収となった。工業用塗料も新設住宅着工戸数など市況が堅調に推移したほか、建設機械市場などコロナ禍の影響からの回復が見られた。アジアでは中国・タイで自動車生産台数が前年同期を上回るなど市況の回復が継続した。汎用塗料は中国での新築住宅や既存住宅向け内装需要の回復が継続したことなどで増収となった。オセアニアは、汎用塗料が前年の山火事や洪水の影響がなくなったほか、住宅リノベーション需要が堅調に推移した。

 中国やトルコの汎用塗料が好調な市況を継続するとともに、アジアや豪州、米州なども堅調に推移しているため、通期業績予想を上方修正した。売上収益は前期比29・3%増の1兆100億円、営業利益は同17・3%増の1020億円と、従来予想に比べそれぞれ1200億円、150億円上方修正した。

 また、欧州の自動車用事業を担うNPAE(日本ペイント・オートモーティブユーロ)、インドの各種事業を担うBNPA(バーガー日本ペイントオートモーティブコーティングス)、NPI(日本ペイント・インディア)の計3社をウットラムグループへ譲渡することを発表した。 

★東海カーボン

 東海カーボンの2021年1~6月期決算は、売上高が前年同期比25・2%増の1173億8000万円、営業利益が同88・1%増の109億4500万円、純利益が同164・4%増の57億800万円の増収増益となった。自動車生産の回復を背景にカーボンブラック事業が伸長したほか、半導体・太陽光発電の需要拡大によりファインカーボン事業が好調に推移し、業績拡大に貢献した。

 カーボンブラック事業は全生産拠点で販売量が前年実績を上回り、売上高が同41・8%増の462億6400万円となり営業利益も43億5300万円と黒字転換した。また、ファインカーボン事業ではソリッドSiC製品も好調に推移し、売上高が同20・2%増の186億7700万円、営業利益が同30・8%増の45億5700万円の増収増益となったが、黒鉛電極は市況低迷により減収減益にとどまった。

 通期見通しについては売上高2509億円、営業利益236億円、純利益120億円を見込む。

★東洋炭素

 東洋炭素の2021年1~6月期決算は増収増益だった。単結晶シリコン製造用など半導体用途で特殊黒鉛製品が好調に推移したほか、カーボンブラシ製品などの旺盛な需要を背景に売上高、利益ともに計画を上回る結果となった。

 国内では半導体用が旺盛な需要に支えられ好調に推移したほか、連続鋳造用や工業炉用などの冶金用も着実に回復し増収増益。アジアでも太陽電池用は減少したものの、半導体用や放電加工電極用をはじめとした冶金用、カーボンブラシ製品などが好調に推移し増収増益だった。

 通期業績を売上高365億円、営業利益56億円、経常利益60億円、純利益42億円に上方修正。第3四半期以降は新型コロナウイルス感染症の感染再拡大や米中貿易摩擦の影響に加え、太陽電池市場における競争環境や巣ごもり需要一巡にともなうカーボンブラシ製品の需要低下などが懸念材料だが、半導体需要の高止まりや対面産業の稼働回復などを背景に各用途おおむね堅調に推移する見通し。

★K&Oエナジーグループ

 K&Oエナジーグループの2021年1~6月期決算は、売上高が前年同期比5・2%減の304億円、営業利益が同8・5%減の27億円、純利益が同5・3%減の19億5000万円と減収減益となった。ヨウ素事業は好調を維持したものの、ガス事業が販売価格の低下を受け、振るわなかった。

 ヨウ素事業の売上高は同12・6%増の27億7000万円、営業利益が同16・1%増の12億円と2ケタの増収増益。販売量増と売価上昇が寄与した。ガス事業は輸入エネルギー価格の影響によるガス売価下落により減収減益となった。

 通期見通しは、ヨウ素事業の好調に加え、輸入エネルギー価格の影響によるガス売価上昇を見込むことから、売上高、各段階利益とも上方修正。売上高610億円、営業利益36億円、純利益26億円を見込む。

★日産化学

 日産化学の2021年4~6月期決算は、営業利益、経常利益、純利益がいずれも2018年4~6月期以来の過去最高益更新となった。4セグメント中、医薬品セグメント以外が増益で、化学品以外が当初予想を上回る利益を上げた。

 売上高は収益認識に関する会計基準適用の影響で前年同期比5・6%減の464億円だが、営業利益は同21・1%増の118億円、経常利益が同18・3%増の123億円、純利益が同16・3%増の88億円。10日に電話会見した宮崎純一取締役副社長は「過去7年連続過去最高益を更新したうえでの増益。長年培ってきた強靭な事業体質に裏打ちされたもの」と語った。

 セグメント別の利益は、化学品がメラミンや粉体塗料硬化剤などが好調で12億円(前年同期比5億円増)だった。機能性材料は同16億円増の69億円。ディスプレイ材料、半導体材料ともに好調で、計画比でも15億円もの上振れとなった。農業化学品は微増の40億円。売上高は前年同期比、計画比とも下振れたが、営業利益は予想比でも3億円増。医薬品は同1億円減の1億円の損失。海外での後発品の増勢などの影響を受けた。

 営業利益で21億円、純利益で13億円計画より上振れたが、上期および通期の業績予想は修正していない。

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