★カネカ

 カネカの2021年4~6月期は売上高が四半期として過去最高を更新、営業利益は6倍近い増益となった。塩化ビニル樹脂やディスプレイ材料を中心に、経済活動の再開で需要が復調。販売数量増加や価格上昇につながった。

 売上高は1641億円(前年同期比29・6%増)、営業利益は118億円(同483・9%増)、経常利益は107億円(前年同期は8億2300万円)、純利益は77億円(同4億3700万円)だった。

 セグメント別営業利益は、マテリアル部門が前年同期比3・3倍増の93億円。アジアで塩ビ樹脂の需要が増加。衛生用手袋向けペーストも堅調で、価格改定により収益が拡大した。クオリティオブライフ部門は3・7倍増の45億円。有機ELディスプレイ用ワニスや大型テレビ向けアクリルフィルム用樹脂の販売が好調。アフリカ向け頭髪用繊維も復調した。

 ヘルスケア部門は0・5%増の23億円。脳動脈瘤塞栓コイルなどカテーテルの海外販売が拡大。低分子医薬販売やバイオ医薬の受注も好調だった。
ニュートリション部門は、72・9%増の14億円だった。欧米でコエンザイムQ10の販売が好調だった。

★ADEKA

 ADEKAの2021年4~6月期決算は大幅な増収・増益となった。売上高は前年同期比23・9%増の840億円、営業利益は同77・4%増の89億円。化学品をはじめ、食品、ライフサイエンス事業で増収・増益となった。

 化学品事業で展開される樹脂添加剤は、自動車生産が前年同期の落ち込みから回復が進んだことなどで核剤や光安定剤、ゴム用可塑剤の販売が好調に推移した。また、東南アジアで鉛やスズなどの有害重金属を含む安定剤を規制する動きが加速し、インフラ用途で重金属フリー安定剤の販売が増加した。

 情報・電子化学品では、最先端のDRAMに使用される高誘電材料の販売が好調に推移。NAND向け製品の販売も堅調だった。ディスプレイ向けも液晶・有機ELパネルの需要が増加し、液晶ディスプレイ用エッチング薬液、光学フィルム向け光硬化樹脂、カラーフィルター向け光重合開始剤の販売が好調だった。機能化学品では、エンジンオイル用潤滑油添加剤や特殊エポキシ樹脂、エポキシ樹脂接着剤の需要が旺盛だった。

 食品事業も食品ロス削減に貢献する「マーベラス」シリーズがパンなどの買い置きニーズのほか、冷凍・冷蔵など新たな用途でおいしさが持続する機能性が評価され、販売が順調に拡大した。ライフサイエンス事業は、北米での害虫多発に伴う殺ダニ剤の需要拡大などにより、米州での販売が好調だった。

 21年4~9月期の連結業績予想は自動車販売・生産の回復や半導体需要のさらなる拡大を受けて、同社製品の需要が増加すると見込み、上方修正した。売上高は前年同期比19・7%増の1660億円、営業利益は同67・4%増の150億円。従来予想に比べてそれぞれ130億円、52億円上方修正した。なお、通期連結業績予想も上方修正した。

★日本化学工業

 日本化学工業の2021年4~6月期決算は増収・増益で着地した。売上高は前年同期比20・5%増の101億円7200万円、営業利益が同90・3%増の14億6800万円となった。化学品、機能品、空調関連事業は増収だった。

 化学品ではクロム製品がめっきなど自動車関連向けで好調に推移。リン製品は液晶や半導体向けが好調に推移したことで売上高が増加した。機能品事業では、ホスフィン誘導体は海外向けが大幅に伸びた。電子セラミック材料はICT向けや通信向け、自動車向けが好調に推移したことで増販だった。高純度電子材料は半導体向けが好調に推移したことにより、売上高は拡大した。空調関連事業は半導体向けのケミカルフィルターや量子コンピューター向け極低温冷却機器が好調に推移した。

 また、通期連結業績予想を上方修正した。売上高は前期比3・9%増の360億円、営業利益は同43・7%増の40億円、経常利益は同72・7%増の40億円、純利益は同19・1%増の26億円。従来予想比では売上高は変更ないが、営業利益、経常利益ともに14億円、純利益は7億円上方修正した。

 上方修正の理由には、連結子会社の異動で売上高は減少するが、自動車市場向けを中心に想定以上の需要回復が見られることが挙げられる。半導体関連市場も強い需要環境にある。これによって稼働率が向上し、一般管理費の削減効果などが期待され、特別利益及び特別損失の計上も考慮し、営業利益、経常利益、純利益を上方修正した。

★サカタインクス

 サカタインクスの2021年1~6月期決算は、営業利益が前年同期比58・6%増の50億円だった。多くの地域でパッケージインキが堅調だったほか、機能性材料でも広告需要の回復やディスプレイ市場の好況などが寄与。原材料費高騰の影響は受けたものの、製品価格の改定や全社的なコスト削減効果策などが奏功した。インキ・機能性材料とも欧米市場が堅調であることやアジア・米中における価格改定効果などを織り込み、通期予想を上方修正した。

 売上高は同11・6%増の886億円、経常利益は同1・2倍の58億円、純利益は同1・6倍の40億円。印刷インキ事業は各地域とも増収増益で、先進国ではコスト削減が大きく寄与した。日本では巣ごもり特需がなくなったものの、内食向けなどのグラビアインキが堅調。オフセットインキの販売にも回復が見られた。アジアは同41・9%と増益幅が大きい。東南アジアでグラビアインキが堅調だったほか、中国では印刷情報関連も好調だった。米州はパッケージに加え、環境対応意識の高まりで缶用メタルインキが堅調。欧州は4700万円の黒字を確保した(前年同期は2億円あまりの営業損失)。

 機能性材料事業は同1・7倍の増益。海外の広告需要が回復してインクジェットインキの拡販が進んだほか、カラーフィルター用顔料分散液も堅調に推移した。またコロナ禍の影響でオフィス需要が低迷していたトナーにも回復の兆しがある。

 通期予想は上方修正。売上高は2月の前回予想比90億円増の1790億円、営業利益は同10億円増の90億円とした。

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