★ENEOSホールディングス

 ENEOSホールディングスの2021年4~6月期決算(国際会計基準)は純利益が1251億円(前年同期は209億円の純損失)だった。1400億円の純利益を見込む通期業績予想は据え置いた。原油価格の上昇とともにプラスの在庫影響が生じた効果を享受した。在庫影響除き営業利益は10%減の745億円。主力のエネルギー事業の損益が悪化した。製油所の稼働トラブルや輸出マージンの低迷が影響した。

 売上高は43%増の2兆2240億円、営業利益は669%増の1619億円だった。

 影響除き営業利益が減少した主因は、セグメント利益が83%減の75億円のエネルギー事業だった。同事業の内訳をみると、石油製品事業が4億円の損失(同335億円の利益)に転落し減益額で最大だった。販売数量は増加したものの、製品マージンが悪化し製油所で操業トラブルが生じた影響も受けた。一方、パラキシレンなどの石油化学製品事業は、市況が改善し黒字転換を果たした。

 製油所のトラブルが業績に与える影響は、7~9月期決算では軽減する見込み。地震で装置を停止した仙台製油所(仙台市宮城野区)と、配管の破裂で停止した和歌山製油所(和歌山県有田市)は既に操業を開始した。20年5月に火災事故が発生した大分製油所(大分県大分市)は、あす14日から稼働を再開する。

★富士フイルムホールディングス

 富士フイルムホールディングスの2021年4~6月期決算は、純利益が前年同期比2・1倍の573億円となり、同期間として過去最高を更新した。全ての事業セグメントが増収増益となったほか、先端医療分野で出資するセンチュリー社の上場による投資有価証券評価益176億円の計上が寄与した。売上高は同27・7%増の5827億円となった

 営業利益は同2・8倍の563億円。セグメント別にみると、ヘルスケアが同4・7倍の207億円に急拡大し、業績に大きく貢献した。富士フイルムヘルスケアの連結子会社化が寄与したほか、バイオCDMOが好調に推移した。マテリアルズは同62・9%増の213億円。半導体関連ではCMPスラリーやポリイミドなど幅広い製品が伸び、ディスプレイ材料も巣ごもり需要で販売が増加した。ビジネスイノベーションは同4・5%増の140億円、イメージングは80億円(前年同期は30億円の営業損失)に黒字転換した。

 4~6月期の業績を踏まえ、通期予想を上方修正した。売上高は前回予想比600億円増の2兆5000億円、営業利益は同200億円増の2000億円、純利益は同300億円増の1600億円を見込む。

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