大陽日酸はリチウム蓄電池材料を手掛ける米国のサウス・エイト・テクノロジーズ(カリフォルニア州)と技術・業務提携を結んだと発表した。同社は蓄電池の性能が高められる「液化ガス電解液」と呼ぶ新たな電解液を開発するベンチャー企業。大陽日酸が半導体向け高純度ガスなどで培った技術を活用し、両社で液化ガス電解液の量産技術を共同開発。電気自動車(EV)などの分野向けに開発が進む次世代蓄電池への採用を狙う。

 サウス・エイト社は2015年に設立したカリフォルニア大発のベンチャー企業。大陽日酸のサウス・エイト社に対する出資の金額や比率は非公表という。今回の技術・業務提携を通じて、大陽日酸はリチウム蓄電池市場への参入を目指す。

 サウス・エイト社の液化ガス電解液「LiGas」は圧力などをかけて液化したガスを主成分としていることが特徴で、主成分を溶剤や溶液などに溶かす従来の電解液に比べて蓄電池の性能が高められるという。液化ガス電解液は低温で凍結せず、マイナス80度Cから60度Cまで幅広い温度範囲で安定動作する。化学的にも安定で、反応性が高い電極材料との組み合わせで高いエネルギー密度が得られるという。

 大陽日酸は高純度ガスの製造・供給、液化に関わる技術を活用し、液化ガス電解液の量産に必要な機器の開発などを支援。さらに日米欧、アジアに展開する販売チャネルを生かし、蓄電池メーカーなどに採用を働きかける。EVや全天候型の蓄電システム、ドローン(小型無人機)などの分野向けに開発が進む次世代のリチウムイオン2次電池やリチウム金属電池、リチウムイオンキャパシターなどの電解液としての需要を見込んでいる。

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