帝人は6日、国際社会でカーボンニュートラルの実現に向けた動きが活発化していることを受け、二酸化炭素(CO₂)排出量削減の新たな数値目標を設定したと発表した。2019年に「30年度までに18年度比で20%削減」と定めたが、「30%削減」に引き上げる。サプライチェーン全体でのCO₂排出量についても、自社の活動にかかわる他社からの排出量全体の3分の2以上を占める排出源由来のものは、30年度までに18年度比で「15%削減」と追加。これらの目標は、7月からグループ全体で適用を始めた。

 CO₂排出量を30年度までに18年度比で20%削減との目標は当時の成長見通しなどを踏まえ、パリ協定における「産業革命以後の気温上昇を2度C未満に」との目標に適合する水準として設定。しかし、同協定の目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「SBT」の認定取得も目指すなか、より高い水準への引き上げを決めた。

 新目標の設定ではGHG(温室効果ガス)プロトコルに則り、自社によるCO₂排出量を「自社による直接排出量に、他社から供給されたエネルギーの使用による間接排出量を加えたもの」と定義、算定範囲を拡大した。30%削減はSBTi(科学と整合した目標設定)の認定基準の一つ「2度Cを十分下回る目標水準」などに沿うという。

 サプライチェーンの排出量も「30年度までに総排出量<削減貢献量」としていたが、自社の活動にかかわる他社の排出量において3分の2以上を占める排出源由来のものは、30年度までに18年度比で15%削減すると追加した。

 新たな数値目標は、年内にテイジン・アラミドB.V.(オランダ)の全電力をグリーンエネルギーに切り替えることから着手。グループ内に2拠点残る石炭火力をCO2排出量の少ないガスなどに変えるとともに、社外から購入するエネルギーを再生可能なものに移行することなどで達成を目指す。

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