三井化学は13日、2021年3月期の通期業績予想を上方修正した。石油化学製品を中心とする基盤素材事業で市況が回復し、ナフサ価格上昇にともない販売単価上昇および利幅改善が進むと判断。売上収益は従来予想比250億円増の1兆1700億円、コア営業利益は同50億円増の400億円、最終利益は同70億円増の270億円にそれぞれ修正した。未定としていた配当予想についても公表。従来の業績予想に比べ増益が見込めることから、年間配当予想を前期と同じ1株当たり100円(中間50円、期末50円)とした。

 同社は今期から国際会計基準(IFRS)に移行した。同日発表した2020年4~6月期決算は、新型コロナウイルス感染拡大やナフサ在庫評価損などのマイナス要因が重くのし掛かり、売上収益は前年同期比26%減の2545億円、コア営業利益は同98%減の6億円、最終損益は23億円の赤字(前年同期は125億円の黒字)だった。中島一常務執行役員は「コロナのマイナス影響は上期が中心で、通期ではコア営業利益でマイナス300億円近く想定される。下期から回復を見込むが、いぜん状況は不透明」と話した。

 4~6月期の事業別コア営業損益をみると、包装資材や農薬が堅調だったフード&パッケージング(F&P)のみ増益で、残り3事業は減益。とくに基盤素材は63億円の赤字(前年同期は76億円の黒字)を強いられたほか、モビリティは前年同期比80%減の23億円と大幅な減益だった。

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